パイの実を手に笑顔の藤原
パイの実を手に笑顔の藤原

12月初旬の風物詩と化した“アレ”がなくてそわそわしたロッテファンは多かったと察します。新入団選手発表会の翌日に行われる菓子工場見学。ここで近年、定番になっていたことがありました。

例えば昨年、見学を終えた安田の感想は以下の通り。

「出来たてのパイの実を食べることができて、すごくおいしかったですし、楽しかったです。(中略)パイの実は1つが64層で成り立っていると聞いてビックリしました」

そう、「パイの実」が64層からできていると知ってドラフト1位がびっくり。ここまでが一連の流れだったのだ。

さて今年のドラ1は大阪桐蔭・藤原恭大外野手(18)。5日、見学直後のコメントは大方の予想の裏をかいた。

「大きな生地にたくさんのコアラの絵柄がプリントされていて、絵柄の種類を聞いたところ、365種類もあると聞き、ビックリしました」

実は今年は、新人の見学コースにパイの実の生産レーンが含まれていなかった。関係各所では大いに議論が交わされた。「パイの実をはずしていいものか?」「いや、新しいトリビアを提供するのもアリじゃないか」-。大人たちがまじめに会議した結果、コアラのマーチでいこう! という結論になった。

ところがふたを開けてみると、ネット上は「パイの実じゃないの!?」というコメントであふれた。一部ファンの間では藤原の獲得が決まった時から“定番のアレ”を期待する声もあった。

これはニーズに応えなくては終われない…。午後の寮見学も完了した午後4時28分。球団広報は公式ツイッターに笑顔の藤原の写真を投稿した。手にはもちろん、あのお菓子。

「自分へのご褒美にパイの実を食べています。64層からなるパイの実は本当においしいですね!」

待ってましたとばかりにツイートは大拡散。わずか1時間で1100リツイート、2242いいねを獲得し、Yahoo! キーワードランキングで「64層」が6位まで急上昇する盛り上がりぶりだった。

これぞ、伝統芸能? チャレンジ精神も重要ですが、何事も継続は力なんだと、思わぬところで話題を呼んだ“場外戦”でした。【ロッテ担当 鎌田良美】