昨季通算2000安打を達成したロッテ福浦和也内野手(43)が、今季限りでの現役引退を決意したことが23日、分かった。

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昨年末、福浦に久しぶりに連絡を取った。プロ野球担当を離れることを伝え、「マリンにまた顔出します」と書き添えたら、「いないと思うよ 笑」と返ってきた。1軍にはいないという自虐ネタに苦笑したが、よく考えたら、2軍打撃コーチとしての決意表明だったのかも知れない。

15~17年の3年間、担当した。取材メモを見返すと、どうしても、カウントダウンが始まっていた2000安打や年齢の話が多かった。同じような質問に丁寧に答えてくれていたことに、改めて頭が下がる思いがした。

目がとまったのは、17年9月に聞いた話。若い頃を振り返り「俺、ドラフト7位だよ。あの年(93年)の最後の指名。しかも、投手だった。それが一番出世したなあ」と感慨深げに笑っていた。4年目の97年7月、チームが不振の中、1軍に呼ばれ、プロ初出場で初安打を放つ。「そこからだよ。そん時は必死にやるだけ。ただ、後から考えたら、あれが分かれ道だったんだな、て。チャンスをものにできるか、どうかで変わった」と続けていた。

大ベテランの目は、後輩にも向けられていた。「今の若い子を見てて思うのは、本当に考えて練習してるのかな、てこと。ただ打つだけだったりする。バント練習にしても、マシンと手投げの球だったらできるよ。それだけで、いいのかな? 俺はルーティンがある。今、自分に必要な物は何かと考えたら、自然とやるメニューが出来上がっていく」と、考えて練習することが大事だと強調していた。「考えるようになったきっかけは、高卒4年目で寮を出たこと。早いよ。でも、寮を出たから、寮生の元には戻れない。1人で練習する時に、周りを見て。これだと思った先輩とは一緒に練習したりした」と締めていた。

今季での引退を決めた。今年は、よりコーチに比重を置くだろう。若手に、どんな“きっかけ”を与えるのか。選手・福浦を見届けるとともに、そのことにも注目したい。【15~17年ロッテ担当 古川真弥】