<日本生命セ・パ交流戦:ソフトバンク6-4中日>◇6日◇ヤフオクドーム

もう40年以上も前になる。頭頂部に「666」の文字が刻まれた悪魔の子が引き起こす「オーメン」というホラー映画があった。なぜか印象深く、6月6日になるといつもこの映画のことを思い出す。

交流戦が始まって工藤ホークスは快調。この日も勝利を飾って3連勝を手にした。勝負が決まった8回の攻防。中日は途中出場の捕手武山の先頭弾で同点に追いつき、2死に大島が右翼フェンス直撃の打球を放った。ホークス守備陣の連係のゆるさを突いて一気にホーム突入したがアウト。微妙な本塁クロスプレーに中日与田監督は「リクエスト」を要求した。場内に流れる映像では大島の手が早かったかに見えたが約5分の検証後、判定通りアウトとなった。検証後の判定は覆ることはない。8回にロドリゲスが痛恨の2失点。今宮の本塁突入のリクエストも判定通りセーフ。勝負は決まった。さきほどの映画の話だが「オーメン」とは「よくないことの前兆」の意らしい。3連敗を喫した中日にとってこの「8回」はまさに悪夢となってしまった。

リクエスト制度が施行されて、この手の「後味の悪さ」がなかなか改善されないのも事実だ。12球団本拠地球場の映像設備に差異があったり、統一された「正確性」を担保できていないのが現状でもある。リプレー検証中はファンサービスもあってプレー映像を何度も流している。スタンドの反応とジャッジが相反することもしばしば見かける。制度は導入したら終わりでなく、さらに精度を上げなくてはならない。NPBには大いに取り組んでもらいたい課題と思う。【ソフトバンク担当 佐竹英治】

8回、審判に向かってさけぶ中日波留コーチ(撮影・栗木一考)
8回、審判に向かってさけぶ中日波留コーチ(撮影・栗木一考)