<巨人6-2広島>◇28日◇東京ドーム

主将の仕事だ。巨人坂本勇人内野手(30)が、看板直撃の特大弾で勝利に導いた。1点を追う5回1死一塁、広島野村の初球シュートをはじき返し、左翼席後方の「キリン一番搾り」に当てる逆転33号2ランを放った。

   ◇   ◇   ◇

坂本勇が最もこだわる記録が「全試合出場」だ。レギュラーを獲得した2年目に初めて達成。09年は腰痛で3試合欠場したが、10年から5年連続でクリアした。運動量の豊富な遊撃を守り、打線では中軸。心身の疲労は想像に難くないが、胸にはこんな思いがある。

坂本勇 今日しか来られない人がいるかもしれないじゃないですか。僕のプレーを楽しみにしてくれるファンの方がいるかもしれないですし、レギュラーで出させてもらえる以上、僕は試合に出たいです。

記憶の奥には小学生の時、地元兵庫の甲子園球場を訪れ、澄んだ目で見た景色が広がる。当時は友達と焼き鳥やお菓子を食べるのに夢中だったが、カクテル光線に照らされた選手の姿に「やっぱり、プロってすごいなと思った」。約20年前に憧れを抱いたプロの立場として、今は子供たちに夢を与える。【巨人担当 久保賢吾】

巨人対広島 5回裏巨人1死一塁、坂本勇は左越え逆転2点本塁打を放ち、ベンチに向かって大きく叫ぶ(撮影・垰建太)
巨人対広島 5回裏巨人1死一塁、坂本勇は左越え逆転2点本塁打を放ち、ベンチに向かって大きく叫ぶ(撮影・垰建太)