DeNAは現在、球団史上最長となる12試合連続、ドーム球場での試合に臨んでいる。本拠地の横浜スタジアムが東京オリンピック(五輪)の野球、ソフトボールの会場となったため、撤収作業が続いており、東京ドームを借りてホームゲーム(阪神戦)を行ったのだ。巨人主催の東京ドーム3連戦、阪神主催の京セラドーム大阪3連戦を挟んで、27日からはヤクルトの主催で東京ドーム3連戦が予定されている。

これまでDeNAのドーム球場での最長は6試合連続で、19年まで過去7度あった。過去最長の2倍近い連続ドーム試合は、どういった影響があるのか聞いた。

三浦大輔監督はメリットを感じている。「雨の心配をしなくていいというのが一番です。投手もしっかり準備できるし。ローテもずれることがない。外が暑い時期に中でできるのは、コンディション的にも調整しやすいのかなと思います」。後半戦は新潟でのヤクルト戦から再開したのだが、初戦がいきなり雨天中止。エース今永昇太投手をスライドさせる羽目になった。2戦目には大貫晋一投手を用意していたが、次カードに回すなどローテーションは組み直した。

川村丈夫投手コーチも、非常に前向きな反応だった。「かなりプラスがあると思う。ローテも崩れないし、気温は大きなポイント。先発投手が好投してるのも関係していると思う」。DeNAの先発投手の平均投球回は4・89回(24日現在)。12球団で唯一、5回に届いていない。だが、ドーム連戦開始以降は5・61回(同)と、1イニング近く伸びている。

選手はどうだろうか。真夏の暑い中、人工芝が照り付ける上での練習よりも、空調の効いたドームは調子を維持しやすそうに見えるが。先発の浜口遥大投手(26)は「答えにくいですが、そんなに変わりないかな。野手や中継ぎは毎日試合があって気温も気になるかなと思うけど、僕らは1週間に1回だし、通常でもドームが続くことはある」。さらに「横浜スタジアムが一番いい球場だと思っている。ホームグラウンドはしっかり練習できるので」と付け加えた。

野手には、ドーム球場での思わぬ副産物もあった。25日の阪神戦(京セラドーム大阪)では、牧秀悟内野手(23)が史上70人目。新人では初となるサイクル安打を達成した。最後の三塁打は、右翼線への飛球だった。これが高くバウンドして、フェンス際へ転がった。高くはねたことは、天然芝より硬い人工芝でもあることが幸いした。日本には天然芝のドーム球場はない。京セラドームは両翼が100メートルと広いことも、三塁打になるには有利だ。

本来阪神が本拠地としている甲子園球場は天然芝で、両翼は95メートルと意外に狭い。逆に右中間と左中間は膨らみがあって広い。牧は第2打席でスタンドギリギリに届く14号3ランを放っていたのだが「広い京セラドームで右中間にホームランが打てた」と話した。これが甲子園であれば、右から左への浜風もあり、スタンドまで届いたか分からない。甲子園で右打者が右中間へ本塁打するのは、至難の業だ。

25日までのドーム8試合は4勝3敗1分けと勝ち越している。球団初の12試合連続ドームは、ひとまず順調にすべりだした。

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ここからは過去のデータに基づく余談である。過去にDeNAがドームで6試合連続以上を戦ったのは以下の7例あった。

(1)東京ドーム→ナゴヤドーム(02年8月)

(2)大阪ドーム→ナゴヤドーム(04年8月)

(3)札幌ドーム→大阪ドーム(05年5月)

(4)大阪ドーム→ナゴヤドーム(05年8月)

(5)東京ドーム→ナゴヤドーム(09年8月)

(6)ヤフオクドーム→京セラドーム大阪(16年6月)

(7)京セラドーム大阪→東京ドーム(19年8月)

7度のうち5度は8月に集中している。セ・リーグの本拠地はドーム球場は、東京ドームとバンテリンドームだけ。8月は甲子園期間中に阪神が京セラドーム大阪を使用するため、頻度が高まっている。前記の6試合連続ドーム使用があった月間勝率は

(1)7勝17敗(勝率2割9分1厘)02年通算は同3割6分3厘

(2)7勝14敗1分け(勝率3割3分3厘)04年通算は4割3分7厘

(3)13勝12敗(勝率5割2分)05年通算は4割9分6厘

(4)10勝14敗1分け(勝率4割1分7厘)05年通算は4割9分6厘

(5)10勝15敗(勝率4割)09年通算は3割5分4厘

(6)9勝13敗(勝率4割9厘)16年通算は4割9分3厘

(7)14勝13敗(勝率5割1分9厘)19年通算は5割7厘

月間勝率が上回ったのは3度で、下回ったのが4度。強い相関関係は見いだせなかった。6試合ではあまり影響がなかったのかもしれない。今年は影響が出るのか。注視していきたい。【DeNA担当=斎藤直樹】