7月15日、ドラフト候補選手の発掘を趣味にするYさんに同行してプロ注目選手を追いかけた。

 早朝、都内の自宅を出発。土浦、神宮、昭島の3球場をハシゴした。さて、我々2人は注目選手を無事チェックできたのだろうか。珍道中? の様子は以下の通り。

 ◆6:40 自宅を出発。最寄り駅から茨城・土浦へ向かう。最初のお目当ては取手松陽のドラフト候補右腕、内村悠斗投手。T横線を中目黒で地下鉄日比谷線に乗り換えて北千住へ。北千住駅でおにぎり(とりごぼう、ごま高菜=計300円)を購入。7時43分発の常磐線快速・勝田行きに乗った。北千住では座れなかったが次の松戸で座席があいた。牛久を通過。巨大な牛久大仏を探したが発見できずガックリ。

 ◆8時37分 土浦到着。徒歩で球場へ向かう。途中、コンビニに寄って凍ったペットボトル入りレモンジュース、アイス「ガリガリ君」を2本購入。1本はすでに球場入りして席を確保してくれているYさんへのお土産だ。

 ◆8時55分 球場到着。この球場は遠い昔、アマチュア野球担当をしていた時に一度来て以来23年ぶり2度目。Yさんと合流しネット裏に着席。「ガリガリ君」を一緒に食べながら試合開始を待った。隣には阪神中尾スカウト。「海(霞ケ浦)からの風が気持ちいいね」と同スカウト。この日阪神は5人のスカウトで内村投手を視察した。

第1試合、土浦市営球場。スピードガンを構える阪神葛西スカウト
第1試合、土浦市営球場。スピードガンを構える阪神葛西スカウト

 ◆9時20分 地元の強豪、優勝候補の常総学院と注目右腕のいる取手松陽の対戦とあって内野スタンドは満員。外野芝生席も開放した。茨城の高校野球人気もすごい。

 ◆9時30分 シートノックが始まった。常総学院佐々木力監督の速射砲のようなノックが雨あられのように内外野に飛ぶ。数えてみたら7分間で何と102本。一方の取手松陽は78本(外野ノックは別)。

 ◆9時57分 予定より3分早くプレーボール。取手松陽・内村投手を見たら、次は神宮に移動しなければならない。少しでも早い開始は大歓迎だ。1回、内村投手は常総学院を3者凡退に抑える上々の立ち上がり。阪神スカウトのスピードガンで最速139キロをマークした。

 ◆10時15分 スタンドは大混雑。球場近くにあるカラオケ店の駐車場に車を停めて観戦しているファンに場内アナウンス。「警察に通報します。大至急移動するように」。

 ◆10時32分 Yさんが帰り支度を始めた。「10時45分の電車に乗りましょう」。試合はまだ3回裏。後ろ髪を引かれる思いで球場を出て早足で土浦駅に向かった。

 ◆10時45分 上野行きで北千住を目指す。Yさんと牛久大仏を探したがまたしても発見できず。

 ◆11時48分 北千住で地下鉄千代田線に乗り換え、第2の目的地である神宮球場を目指す。

 ◆12時30分 外苑前駅に到着。

 ◆12時40分。神宮球場に着いた。東東京大会、日大豊山-江戸川。試合はすでに6回表。お目当ては、知人のNさんが「あまり新聞等で名前は出ていませんが、いい投手ですよ」と話していた日大豊山・吉村貢司郎投手。ネット裏に座った瞬間、吉村投手がバックスクリーンに本塁打を放った。ピッチングに注目したが本調子ではないらしく相手打線につかまった。それでも183センチ、80キロの大型右腕、見限るのはまだ早いかもしれない。

第2試合、神宮球場。日大豊山-江戸川戦。
第2試合、神宮球場。日大豊山-江戸川戦。

 ◆12時55分 昼ご飯を食べていなかったことに気付く。朝、北千住駅で買ったおにぎりを急いで食べた。ちなみにYさんは土浦の球場でカマンベールクリームチーズのパン(税込129円)と、私が差し入れしたガリガリ君を食べただけである。

 ◆13時 Yさんが帰り支度を始めた。まだ球場に着いて20分足らず。「さあ、昭島へ向かいましょう」。重い腰をあげた。球場を出てJR千駄ケ谷駅へ徒歩で向かう。真夏の日差しでめまいがしそうだ。2人とも汗びっしょりになって駅に到着。

 ◆13時18分 総武線で昭島球場の最寄り駅「東中神」に向かう。新宿で中央線に乗り換えた。

 ◆14時20分 最後の目的地、東中神に到着。改札を出ようとすると反対方向から体格の良い見覚えのある男たちがこちらに向かってきた。巨人の井上、柏田、榑松スカウトの3人。「これから行くの? 今、6回裏あたりですよ」と井上スカウトに笑われた。急げ!

 ◆14時21分 駅を出たところでYさんがのどの渇きを訴えた。ここまで来て熱中症でダウンしては大変だ。駅前のコンビニに寄って私は水、Yさんは紙パック1リットル入りの午後の紅茶アップルティーを購入。大急ぎで球場へ。

 ◆14時27分 昭島球場に到着。西東京大会、国学院久我山-工学院大付。お目当ては国学院久我山・了海航。180センチ、87キロの大型捕手だ。試合はすでに8回に突入していた。国学院久我山が7-6でリード。つまり、このまま1点差逃げ切ってしまうと、9回裏の久我山の攻撃はない。もしかしたら1打席も見られないまま終わってしまうかもしれない。この日、最大のピンチが訪れた。しかし、スコアボードを見ると8回裏の攻撃は2番から。4番打者の了海捕手まで確実に回ってくる。Yさんと「良かったね」とうなずき合い、打席に注目。中飛に終わったがこちらは満足した。9回表、守備に就き、投球練習最後の二塁スローイングも見ることができた。ストップウオッチで計測したところ2・01秒。Yさん計測で2・03秒。矢のような送球が低い軌道で二塁手のグラブに収まった。

 ◆14時37分 試合終了。国学院久我山が7-6で勝利。最後の打者を三振に仕留めると了海捕手が飛び上がってガッツポーズ。1-6からの5点差逆転勝ちだっただけに喜びもひとしおだったのだろう。この瞬間、Yさんとの3球場ハシゴ弾丸観戦ツアーも無事終了した。

第3試合、昭島市民球場。国学院久我山-工学院大付。
第3試合、昭島市民球場。国学院久我山-工学院大付。

 ◆16時 昭島球場から立川に電車で移動。実は我々には楽しい「第4試合」が待っている。ホントはこの「第4試合」のために一日頑張ったのかもしれない。立川駅近くの居酒屋「かぶら屋」さんへ。「乾杯!」のかけ声とともにYさんとの第4試合が始まった。

 この日、3試合を観戦したが、土浦の第1試合は3回途中、神宮の第2試合は7回の表裏、そして昭島の第3試合は8、9回。3試合足しても1試合分(9回)に満たなかった。こんな観戦をしたのはもちろん初めてだ。まるでプロ野球のスカウトのような分刻みのスケジュール。Yさんのスマホは電車の時刻調べと試合経過速報の検索し過ぎでバッテリーがなくなってしまった。それでもお目当ての選手を無事確認できた。

 「プロ野球のスカウトには勝つつもりでやっております(笑)。こちらは一人ですし、毎日は見られませんから」とYさん。綿密な観戦スケジュールを立て、フットワーク良く球場をハシゴし、効率よくドラフト候補選手を発掘していく。そして良く食べ、良く飲む。

 「あっぱれ!」である。

 第4試合は途中、グラウンド(店)を変え、友人のCさんもわざわざ都心から駆けつけてくれ、めでたくゲームセットになった。

 都内自宅-土浦-神宮-昭島-立川-自宅。全行程をYahoo!で調べたら225・6キロ。酩酊状態で帰宅すると時計は23時を回っていた。

第4試合、立川の居酒屋さん。「上タンネギ塩」(280円)と生ビール
第4試合、立川の居酒屋さん。「上タンネギ塩」(280円)と生ビール