7月27日、降雨順延となった埼玉大会決勝戦が行われ、花咲徳栄が宿敵・浦和学院を5-2で破り3年連続5度目の優勝を果たした。

 0-0で迎えた5回、ともに無死満塁のチャンスがあり、先攻の花咲徳栄が4点、一方の浦和学院が無得点に終わり、勝敗は決した。

 決勝戦というのは独特の雰囲気がある。スタンドは満員、記者席も満員。プレーする選手も同じ。「一戦、一戦、力をつけて」と言われるが、その実、選手の肉体、精神力は一戦、一戦、削られている。まさにギリギリの状態で決勝を戦うのである。まして、埼玉大会は戦前の予想通りの2強が決勝まで駒を進めた。彼らは極限状態で決勝当日を迎えたであろう。

 5回の攻防をもう一度振り返りたい。

 この回の守りで浦和学院は「まさか」のミスを2つ犯した。1つ目は、先頭打者を振り逃げで出塁させてしまったことだ。捕手が大きく後逸したわけではない。ワンバウンドの投球を少し逸らした。すぐに拾って一塁送球でアウトと思われた瞬間、その送球が高く逸れてしまいセーフ。ここから二塁打、四球で無死満塁。1死後、2番手投手が押し出し四球、さらに3番手投手が押し出し死球、押し出し四球で3点。8番打者は遊ゴロ。6-4-3の併殺かと思われた瞬間、二塁手のベースカバーが遅れ一塁アウトのみ。これが2つ目のミス。致命的ともいえる4点目が入った。

 勝った花咲徳栄・岩井隆監督が言った。

 「決勝戦というのは何かしらやってしまう。選手がおかしくなるというか、難しいプレー、信じられないプレーが出る。うちは運が良かっただけ」。

 浦和学院は、花咲徳栄というより「決勝戦の魔物」に敗れたのかもしれない。それほど両校の実力差はなかった。

 閉会式が終わり、取材をして、原稿を書いて、埼玉大会は終わった。

 連日、球場で顔を合わせたM新聞Nさん、S新聞Iさん。姉妹のように仲良しの両新人女性記者に「また甲子園で」と別れを告げて球場を出た。

 実は当初、8月からは通常の内勤仕事に戻るはずだったが急きょ「甲子園にも行ってください」と業務命令が出た。

 次なる取材の舞台は甲子園。ここ数年、ネット速報の仕事で大会終盤に出張はしているものの、開幕から取材するのは25年ぶり。体力に不安はあるが、余裕があれば、甲子園取材の現場から再びリポートをお届けしたい。

 最後に埼玉球児のみなさん、お世話になりました。快く取材に応じてくれてありがとう!