台風11号による悪天候で甲子園の開幕が11日にずれ込んだ。開会式が中止となるのは1920年の第6回大会、60年の第42回大会以来3度目で、開幕日から2日連続で全試合中止となるのは初めてだそうだ。

 2日も時間ができたので、今大会の注目選手を挙げてみたい。

 まずは投手から。

 ふくださんのイチ押しは盛岡大付の松本裕樹投手(3年=183センチ、80キロ、右投げ)だ。松本は昨春のセンバツで(テレビで)見た。背番号を8を付けた2年生でほとんど注目していなかった。しかし初戦の安田学園戦で投げる姿を見て一目ぼれした。

盛岡大付・松本投手
盛岡大付・松本投手

 何が良いかといえばまずはコントロール。各打者の外角低めに直球をキッチリと投げ込んでいた。次に力みがないフォーム。軽く投げているように見えてスピードは145キロをコンスタントにマークした。プロ野球の担当記者時代、投手出身のある監督が自軍の某若手豪速球投手を評してこう言った。「150キロのあのボールを全力で投げているうちは使えない。7~8分の力であのボールを投げられるようになったら1軍で使う」。10の力で10のボールをいくら投げてもプロでは打たれる。いかに力を入れず、7か8程度の力で10のボールを投げることができるか。そこが使える投手、使えない投手の分岐点だとその時知った。

 松本は7割程度の力で10のボールを投げることができる。3年生になってからの投球は見たことはないが、昨年春の甲子園で見せたあの投球を再現してくれるに違いない。初戦の相手は優勝候補の東海大相模。全国の野球ファンが注目する一戦で好投すれば「ドラフト1位指名」も現実味を帯びてくる。

 松本のほかにも150キロを出す投手がいる。大分の佐野皓大投手(3年=182センチ、71キロ、右投げ)だ。昨晩だったかテレビ朝日の報道ステーションで工藤公康氏(日刊スポーツ評論家)が佐野を取り上げていた。ブルペン投球の映像を見ることができたが、細身で西武岸投手に良く似ている。最近はスピードを上げようと体重を増やす投手が多いが、今どき珍しいほどのスリム体形。それでも150キロが出るのだから、まだまだ伸びしろはあるはず。細い体と長い腕を鞭のようにしならせて快投を演じてくれるはずだ。初戦の相手は強打の日本文理。相手にとって不足はない。真っ向勝負してほしい。

 このほか、注目している投手は次の通り。

<右投手>

東海大相模・吉田凌(2年=181センチ、72キロ)

東海大相模・青島凌也(3年=177センチ、76キロ)

東海大相模・佐藤雄偉知(3年=190センチ、90キロ)

東海大望洋・宇津木総(3年=175センチ、75キロ)

東海大望洋・原田泰成(2年=180センチ、85キロ)

春日部共栄・渡辺嵩介(3年=178センチ、78キロ)

九州国際大付・アドゥワ大(3年=196センチ、84キロ)

明徳義塾・岸潤一郎(3年=175センチ、75キロ)

沖縄尚学・山城大智(3年=176センチ、75キロ)

日本文理・飯塚悟史(3年=185センチ、76キロ)

大垣日大・高田航生(3年=182センチ、72キロ)

星稜・岩下大輝(3年=181センチ、83キロ)

岩国・柳川健大(3年=184センチ、68キロ)

神戸国際大付・黒田達也(3年=185センチ、80キロ)

山形中央・石川直也(3年=191センチ、78キロ)

静岡・辻本宙夢(3年=173センチ、73キロ)

大分・中島優起(3年=176センチ、70キロ)

城北・諸富将士(3年=192センチ、80キロ)

作新学院・朝山広憲(2年=175センチ、73キロ)

角館・相馬和樹(3年=172センチ、68キロ)

東邦・藤嶋健人(1年=176センチ、75キロ)

<左投手>

東海大相模・小笠原慎之介(2年=178センチ、82キロ)

龍谷大平安・高橋奎二(2年=177センチ、67キロ)

春日部共栄・金子大地(3年=175センチ、78キロ)

富山商・森田駿哉(3年=183センチ、79キロ)

日南学園・横川楓薫(3年=176センチ、75キロ)

三重・今井重太朗(3年=177センチ、66キロ)

神戸国際大付・高橋優(3年=175センチ、78キロ)

鹿屋中央・七島拓哉(3年=174センチ、69キロ)

二松学舎大付・大江竜聖(1年=171センチ、66キロ)

 次は打者。

 もっとも注目しているのが健大高崎の脇本直人外野手(3年=180センチ、80キロ、右左)。高校通算本塁打は57本。さらに群馬大会で11盗塁と足もある。知り合いのスカウト氏によれば「今年の高校生、大学生の中でスイングスピードはNO・1」。試合でのプレーをまだ見たことがないだけに、好投手・柳川と対戦する初戦の岩国戦が待ち遠しい。

健大高崎・脇本外野手
健大高崎・脇本外野手

 もちろん通算73本塁打の高校NO・1スラッガー、智弁学園の岡本和真内野手(3年=183センチ、95キロ、右右)からも目が離せない。センバツで見せた豪快な本塁打が忘れられない。初戦は明徳義塾が相手。岸投手との勝負に注目だ。

 投げるだけでなく打撃も素晴らしいのが盛岡大付・松本と日本文理・飯塚だろう。2人とも長打力があり、打者としての評価も高いと聞く。

 また九州国際大付のドラフト候補コンビにも注目。清水優心捕手(3年=185センチ、88キロ、右右)は強肩強打の大型捕手。遊撃を守る古沢勝吾内野手(178センチ、80キロ、右右)は「打撃は清水以上の逸材」と話すスカウトもいる。

 この他、俊足が持ち味の龍谷大平安・徳本健太朗外野手(3年=177センチ、71キロ、右左)、強肩強打でキャッチングが素晴らしい春日部共栄・守屋元気捕手(3年=174センチ、78キロ、右右)、山梨大会で6割3分2厘と打ちまくったプロ注目の東海大甲府・望月大貴外野手(3年=179センチ、80キロ、右左)、阪神北條の弟、八戸学院光星・北條裕之内野手(3年=175センチ、73キロ、右右)、東海大望洋・鈴木翔平外野手(3年=179センチ、82キロ、右左)、大垣日大・滝野要外野手(3年=183センチ、72キロ、右左)、藤代・根本文弥内野手(3年=180センチ、75キロ、右右)、大阪桐蔭・正随優弥外野手(3年=182センチ、85キロ、右右)、沖縄尚学・赤嶺謙外野手(3年=176センチ、75キロ、右右)らにも注目したい。

 2年生では海星の平湯蒼藍内野手(178センチ、84キロ、右左)、東海大相模の二遊間コンビ、千野啓二郎二塁手(181センチ、77キロ、右左)、杉崎成輝遊撃手(172センチ、68キロ、右左)らの活躍も楽しみだ。