このままではいけない! 森に、プロ野球界の未来へ向けた提言をしてもらった。昭和から平成にかけ一時代を築いた名将の目に今の球界はどう映るのか。

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<1>クライマックスシリーズ 今季、巨人は勝率5割未満でファイナルステージへ進出した。日本シリーズには進めなかったが、日本一になる可能性はあった。8度のリーグ優勝をなし得た森は、現在のCSのあり方に疑問を感じている。

「極論を言えばだけど、勝率5割を超えるのが優勝チームだけで、他の2チームは5割を切った場合、何のためのペナントとなってしまう。そうなったら、ペナントに、どれだけの価値があるのか。仕組みを見直すことはできないか」

<2>本塁打の増加 統一球が導入された11年は12球団計939本だったが年々増加し、今季は1681本。打者の技術が向上した結果ならいいのだが…。

「今、ボールが飛ぶよね。もう1度、コミッショナーが抜き打ちで検査する必要があるのでは。なぜ? という打球が多すぎる。検査して何もなければ、打者が向上したと言えるが。加えて、球場を狭めている。ラッキーゾーン(ホームランテラス)を造る球団がある。全く、逆行している。野球の面白みって、ホームランじゃない。そういうところに、コミッショナーが目を向けられるか」

<3>ボールの統一 国内では統一球が導入されても、国際大会やメジャーでは違うボールが使用される。

「問題だよ。他のスポーツをご覧なさい。例えばサッカー。日本でやる時、ボールが小さいかい? テニス。ウィンブルドンだからとボールが違う? あり得ない。全て世界規格、世界共通だよね。まして野球は、世界的なものではない。アメリカ、日本、台湾、韓国など限られている。それなのに世界統一ができない。根本は、球団と業者の癒着ですよ。お世話になっているところが倒産するとか。僕が監督の時から訴えていること」

<4>外国人選手 1年契約なら、日本人選手と異なり、シーズン後にはフリーになる。

「1年でFAになって、他の球団が手を出す。マネーゲームだな。何かしらの方法で、2年なら2年、同じ球団でやるようにさせる。そうしないと、特定球団が手を挙げて、すぐに取っていってしまう」

平成を代表する名将が、平成が終わる前に言っておきたいこと。プロ野球がより魅力的になることを願った問題提起だ。(敬称略=この項おわり)【古川真弥】