高校時代、白球を追って汗を流した自民党筆頭副幹事長の小泉進次郎氏(37)。時代の流れによって高校野球にも変化が必要だと力説する。【取材=中山知子、千葉修宏】

 野球人口の減少が顕著になっている。

 小泉氏(以下小泉) うちの地元もチーム編成が大変ですよ。どんどんチームが合併、そして減少している。今まで日本の国民的スポーツっていうのが野球の代名詞だったじゃないですか。そこにあぐらをかいてはいけない。

 何か対策は。

 小泉 この前テレビを見ていたら、ある地域で子どもたちが小学校で野球をやっていても中学に行ったら部活に入ってくれない。なんでかと聞いてみたら「丸刈りにするのが嫌だ」と。よく分かりますよ。僕も抵抗しましたもん。1度、大人に聞いてみたいと思ったこともある。「丸刈りにしたらうまくなる理由を教えてください」って。

 時代に即して野球文化も変わっていかないといけない。

 小泉 そのテレビでやっていた地域は、丸刈りにするのをやめようとなった。そしたら部員がすごく増えた。僕は丸刈り頭のいない甲子園を見たいね。もちろん高校野球には教育的側面もあるから、何をやっても勝てばいいというのは違うと思います。でも、もっと自由で良いと思う。例えば野球選手とサッカー選手を比べたときに、サッカー選手のほうがおしゃれで格好良く見える。でも最近、DeNAがBEAMSとコラボレーションしておしゃれな帽子やTシャツとかつくったり、すごく良いことだと思うね。格好良いって思われることって大事ですよ。

 お金がかかることも野球離れの一因となっている。

 小泉 野球をやるには豊かな国じゃないとできないんです。サッカーがなんでこんなに根付くか。なんでサッカーがアフリカでもできるか。日本のように野球が盛んな国は世界の中ではものすごくマイナーですよ。このことをもっと真剣に考えないといけない。最近、特に思うのは、日本の中でお金があるけど使っていないところってどこかということ。それは企業と高齢者なんです。どうやってお金のめぐりを良くしていくか。どうやってそういう仕組みをつくるか。スポーツで企業ができることって大きいんです。

 アイデアは次々に出てくる。

 小泉 甲子園も100回を迎える。外国の高校とか呼んだらいいのにね。戦前に台湾の高校が甲子園に来たんですよ。それが映画になってね。永瀬正敏さんが台湾チームの監督を演じて。外国の高校が参加できるようになれば、もっと自由な、これからの世界の中での日本の姿が見せられるんじゃないかな。世界の高校の頂上決戦を甲子園でやればいいじゃない。面白いよね。見てみたいでしょ。そしたら、自然に丸刈り頭じゃなくなりますよ。そんなこと、こだわってる場合じゃないからね。

 より多様化していく現代の中で野球の生き残る道は。

 小泉 例えばeスポーツ。日本ってゲーマーのレベルも高いし、今までだったら好きなことを前向きな形で評価されなかった子どもたちに、新しい価値を与えられたということはすごく大きいことだと思います。リアルな甲子園の他にパワプロ甲子園みたいなのがあっても全然おかしくない。そういう多様な世の中でいいと思う。だからこそ実際に高校野球をやってくれる子どもたちのためにもっと野球は、のびのび自由であるべきだと思います。(おわり)

 ◆小泉進次郎(こいずみ・しんじろう)1981年(昭56)4月14日、神奈川県生まれ。米コロンビア大大学院修了。父小泉純一郎元首相の秘書を経て、09年衆院選で神奈川11区で初当選。現在、自民党筆頭副幹事長。兄は俳優小泉孝太郎(40)。当選4回。独身。