夏の甲子園大会が7日に開幕する。野球評論家の西本聖氏に今大会注目投手の1人、横浜・藤平尚真(3年)についてと、観戦する際に投手のどこをチェックすればいいかを聞いた。

 -地方大会が終わりいよいよ甲子園大会が始まる

 西本氏 高校生が一生懸命プレーする姿を見るのは気持ちがいい。体全体を使う躍動感あふれるフォーム。帽子を飛ばして投げる選手もいる。一生懸命さが伝わってくる。ただ、その中でも投球フォーム、バランスというものは大事。

 -投手のどんなところを見ればいいのか。チェックポイントがあれば

 以下、西本氏の解説。

 <1>軸足(右投手なら右足)でしっかり立つことができているか

 立っている時間が長いほど軸をしっかりつくることができ、ためができる。そこがスタート。

 <2>踏み込んだ足(右投手なら左足)が動かないかどうか

 その足が固定された中で後ろの足(右投手なら右足)がその横にきれいに着地できるか。しっかり体重が乗れていれば踏み込んだ足は動かない。後ろの足が横に着地できていれば下半身を使ったバランスの良いフォームで投げられている証拠。こういう投手はコントロールが良いはず。逆に投げ終えた後、一塁側や三塁側に倒れる投手がいる。それは上半身の動きが強すぎるから。上に頼った投げ方でスピードは出てもコントロールがつきにくい。

 <3>右手(右投手)の使い方

 テークバックの時、自分の体より後ろ(一塁側)に入りすぎていないか。入りすぎるとトップのところで肘が出て来ず開きが早くなってボールが抜けてしまう。ボールを持つ手が頭から離れてしまいコントロールもつきにくくなる。二塁ベースの方向に腕を持っていけば頭のすぐ横からボールを投げられるからコントロールがつきやすい。

 <4>グラブを持った手の使い方

 グラブは車で言えばハンドル、船なら舵の役目。投げる方向にしっかり出せているか。肩の高さまでしっかりと上がっているかどうかをチェックしたい。低すぎると右肩(右投手)が上がり、体が前に突っ込んでしまう。高すぎると右肩が下がり高めに抜けてしまう。さらに肩の高さまで上げたらグラブをしっかり胸のところに引っ張ってこないといけない。ここでグラブを下げてしまうと一塁側に反るような形になり左肩が開きやすくなる。グラブを胸のところに収めることができれば腕が振りやすくなる。

 -西本さんには甲子園出場が決まった最速152キロ右腕、横浜・藤平投手を準々決勝と決勝の2試合、テレビでチェックしてもらった

 西本氏 体にも恵まれているしフォーム的にも悪くない。欲を言えば下半身の粘りと強さがもう少し欲しい。準々決勝ではワインドアップで投げて立ち上がりストライクが入らなくて苦労していた。決勝ではセットで投げることで修正していた。プロの選手でもなかなかできることではない。余分な動きをしない分、コントロール重視ではあっても、コーナーにいいボールが来ていた。高校生としては十分な素材で、これから磨けば磨くほど良くなる。あとはプロに入ってからいい指導者に出会えるかどうか。素晴らしい可能性を秘めた投手であることは間違いない。甲子園での投球も注目したい。