プロ野球は2月1日にキャンプイン。野球評論家の西本聖氏に投手の調整法など1カ月に及ぶキャンプの過ごし方について聞いた。

 -キャンプ中に心掛けていたことは

 西本氏 早め、早めに体や肩をつくることを心掛けていた。1カ月といっても休日などを入れると長いようで短い。若手は早めにつくって紅白戦や練習試合でアピールする必要があるし、ベテランも早めにつくるに越したことはないと思う。特に近年は2月10日前後あたりから紅白戦を組むチームが多い。昔のようにブルペンに入るのは第2クールあたりからという時代ではない。

 -キャンプまでにしておくことは

 西本氏 自分に何が足りないのか。なぜ1軍に定着できないのか、勝てないのか。コントロールなのか、変化球なのか。キャンプまでに自分を見つめ直しておくことが大事。シーズンの反省がしっかりできていれば、キャンプでどんな練習が必要か見えてくる。キャンプは自分を変えるチャンス。若い選手は首脳陣に「オっ、去年とは違うな」と思わせないといけない。

 -現役時代、キャンプでの投げ込みは

 西本氏 巨人時代、キャンプ期間中に3000球投げた年があった。投手コーチだった杉下茂さんの方針で全員が3000球を投げた。投げ込むことによる体力強化と下半身強化、コントロールをアップするため。1日300球以上投げる日もあった。200球を超えると疲れが出てくる。でも、そこから無駄な力を使わない投げ方を覚えていく。上半身の力の入れ方を体で覚えた。本当のピッチング練習は200~250球を超えてから。これは稲尾和久さんにも言われたし、去年引退した三浦大輔だってキャンプでかなりの数を投げ込んでいた。今は2000球投げるか投げないか。漠然と投げるのはダメだが、目的を持って投げ込むのは悪いことではない。ブルペンはフォームを固められる場所であり、確認できる場所。投手は毎日、ブルペンに入るべきだと思う。1軍で活躍するには狙った所に投げられるコントロールが必要。そしてコントロールのない投手は練習するしかない。1軍の投手はシーズンに入ったら投げ込みなんてできない。どうキャンプを過ごしたかでその年のシーズンが決まる。

 -1カ月のキャンプ、息抜きは

 西本氏 練習が休みの日に酵素風呂に行くのが楽しみだった。昼前くらいまでゆっくり寝て、午後から酵素風呂に入ってマッサージを受けて。夕飯を食べて宿舎に戻る。本当にリラックスできた。休みの日にゴルフに出かける選手もいるが体をゆっくり休めた方がいいと思う。