プロ野球は開幕から2カ月が終了。野球評論家の西本聖氏が各チームの戦いなどをふり返った。

 -セ・リーグは一度首位の座から落ちた広島が再び首位に返り咲いた

 西本氏 エースのジョンソン、抑えの中崎(23日に復帰)がいない状況での成績。力のあるチームは主力が欠けても落ちない。選手層の厚さというか広島の底力を感じる。

 -巨人は広島に7連敗するなど借金1の3位

 西本氏 思ったより期待外れ。広島との戦いを見ても同じ失敗を繰り返している。ベンチももっと動かないといけない。6月にFAで獲得した山口俊と陽岱鋼がようやく1軍に合流すると聞いている。2人が大きな頼み。そこから流れをつくっていってほしい。

 -阪神は一時首位に立つなど勢いを感じる

 西本氏 5月の連休中に広島に大逆転勝ちして乗ったと思う。あとは2軍調整となった藤浪。藤浪の復調が今後の阪神のカギを握っている。

 -DeNA、中日は

 西本氏 DeNAは山崎康が抑えに復帰した。後ろがしっかりしてくればこれから連勝もある。逆にダメだと連敗もある。中日はゲレーロとビシエドの調子が上がってきた。若い投手(鈴木、小笠原)も出てきたしこれからに期待。

 -パ・リーグはオープン戦首位のロッテが最下位

 西本氏 気になったというか印象に残ったのが伊東監督のコメントだった。5月17日の西武戦で3点差を逆転され4-8で敗れた試合。伊東監督の「プロ野球のレベルに達してない」というコメントが新聞に載った。選手に「もっと頑張ってほしい」という意図があったと思うが、言われた選手はどう思うか。すべて選手の責任なのか。ベンチの責任もあるのではないか。いかに勝つために舵を取るのが監督の仕事。嵐やシケをどう乗り切っていくか。言葉には意味があると思う。一方で日本ハム栗山監督のコメントも印象に残っている。

 -日本ハムは4月に10連敗を喫するなど現在首位と13ゲーム差の4位

 西本氏 栗山監督は選手が送りバントをミスしても「僕の責任です」とコメントする。バントをミスするのは選手の責任。それなのに監督は「僕の責任」と言う。そこで選手は何を思うか。何を感じるか。「オレがしっかりやっていれば、監督にこんなことを言わせてはいけない」と感じるのではないか。監督やコーチのコメントというのは私も選手時代に経験があるがすごく気になるもの。伊東監督、栗山監督のコメント、どちらが正しいのか間違いなのかは言えない。ただ、プレーするのは選手。人間は感情の動物だと思う。選手がどう感じているのかなと考えることも必要だと思う。

 -パは楽天が首位を走っている

 西本氏 外国人3人(ペゲーロ、ウィーラー、アマダー)がはまっている。ソフトバンクは和田の離脱などでちょっと投手陣が苦しい。逆に面白いのは西武。打線が良いし新人の源田が足を生かしていい活躍をしている。辻監督になって去年とは違うものを感じるし菊池もエースとして一本立ち。上位を狙える可能性は十分ある。

 -5月に大失速したオリックスは

 西本氏 打たれたら(2軍に)落とす、悪くなったらすぐに落とすというのはどうか。先発2本柱の西を2軍に落としたが、彼だったら中6日ある中で話をしながら立て直すという方法もあるのではないか。ただ落とすのでは失礼かもしれないが、なにか責任逃れのような気もする。良い方向に向かっていくためのチーム一丸という感じがしない。取っ替え、ひっ替えでは去年の繰り返し。選手を信用してあげることも大事なのではないか。