シーズン前に優勝候補と言われた巨人が球団史上初めてCS進出を逃した。オフに大補強をしながらなぜBクラスに転落したのか。巨人OBで野球評論家の西本聖氏に分析してもらった。

 -巨人はなぜ勝てなかったのか

 西本氏 勝てないのには勝てない理由がある。今季は絶対優勝しないといけないという中で去年オフに大補強をした。しかし、その補強の仕方がどうだったのかな?

 -新外国人選手としてマギーら、FAで陽岱鋼、森福、山口俊を取った

 西本氏 補強というのは現チームの状態を把握したした上で、優勝するには何が必要かを分析しなければならない。その中で補強ポイントがずれていたと言わざるをえない。

 -どこがずれていたのか

 西本氏 昨年の打撃成績を見ると村田が本塁打(25本)打点(81)とチームトップの成績だった。打率も首位打者の坂本に次いでチーム2位の3割2厘を打った。投手でいえばエース級、巨人なら菅野クラスの働きをしたといっていい。それなのに、村田を開幕スタメンから外した。これが理解できない。菅野を先発ローテーションから外すのと同じことでそんなことはありえない。一般企業でいうなら一番成績の良い営業マンを外すことと一緒。

 <巨人開幕戦オーダー>

1(二)中井

2(中)立岡

3(遊)坂本

4(一)阿部

5(三)マギー

6(右)長野

7(左)岡本

8(捕)小林

9(投)マイコラス

 -マギーを獲得したことで村田があふれた格好になった

 西本氏 確かにマギーは活躍したが、本来は村田を三塁で起用し、二塁を守れる外国人を補強する必要があった。結局、後半は村田を三塁で使い、マギーを二塁で使ってようやく打線が厚みを増した。

 -来季に向けてどう立て直すべきか

 西本氏 まず現状のチーム力をしっかり分析しないといけない。それと選手が育っていないのが非常に気になる。育っていないことを選手の責任にするのはどうか。育てるという環境作りをしないと。僕は巨人に育ててもらったと思っている。地獄の伊東キャンプというものも経験した。エースの堀内さんに代わって江川さん、僕、定岡の3人が出てきた。僕らの後は槙原、斎藤、桑田が出た。今は広島がそう。黒田が抜けても若い投手が出てくる。宮国、高木勇は最初は良くても伸びてこない。成績が下がっている。育っていないということ。強い巨人をつくるには選手を育てないといけないと思う。