プロ野球はキャンプ真っ盛り。野球評論家の西本聖氏が2月1日から4日間、巨人、西武、オリックス、ソフトバンクの4球団をチェックした。
-まずは巨人。昨年はあまりの活気のなさを心配したが今年はどうだったか
西本氏 去年に比べたら元気はよかった。でも、その後で見たソフトバンクと比べるとまだまだ。ソフトバンクのキャンプは活気が違う。昔はあのくらいが当たり前だったんだけどね。
-巨人は昨季14勝8敗のマイコラス(カージナルス移籍)が抜けた。その穴をどうやって埋めるのか
西本氏 マイコラスの抜けた穴は大きい。勝ちを計算できて貯金もできた投手。簡単には埋まらない。
-先発は菅野、田口の2人は確定。3番目に来るのは誰か
西本氏 西武からFAで来た野上、山口俊、2年目の畠あたりが候補になる。
-野上について。昨季は11勝10敗だった
西本氏 良い物は持っている。ただ東京ドームは本塁打が出やすいし、マウンドに上がって勝負所でどんな投球ができるか、精神的な強さはどうか。最低でも10勝はして欲しい。
-山口俊は
西本氏 去年はああいう形(トラブルなど)もあってほとんど投げていない。ブルペン投球も見たが楽な形で投げていたのでどうか。
-去年夏塲から1軍入りし6勝を挙げた畠について
西本氏 1年間働けるかどうかはまだ未知数。去年も大事なところで打たれ不安を残してシーズンが終わった感じがした。
-新外国人のヤングマンは
西本氏 斎藤投手コーチに聞いたが「150キロはきついですね」ということだった。最速が145キロ程度ではちょっと厳しい。カーブ、フォークが良いとは聞いた。
-他には誰かいるか
西本氏 吉川(光夫)あたりも出て来てほしい。桜井も名前が出てこなくなってきた。本来なら、この時期からもっとアピールしなければいけない。そういう意味では、キャンプを回って感じたのは改めて「ブルペンを大事にしないといけないな」ということだった。
-その心は
西本氏 ソフトバンクのブルペンは素晴らしかった。低めに投げることが徹底されている。ボールが左右にバラついてもキャッチャーの頭より上に行かない。見る価値のあるブルペン。投手というのはキャンプのこの時期にフォームを固め、リリースポイントを一定にしておかないといけない。それをするのがブルペン。私の現役時代は多いときで3000球投げた。そこまでとは言わないが今の投手は投げなさ過ぎ。シーズンに入ったら調整に入るので投げ込みなんてできない。今、このキャンプでやっておかないといけない。走り込みやトレーニングも大事だが、90%以上はブルペン。選手も指導者もブルペンを大事にしてキャンプを過ごして欲しい。
-その他の球団について。オリックスは?
西本氏 ドラフト1位の田嶋(大樹=JR東日本、左腕)が良かった。右打者の内角低めに決まるクロスファイアが素晴らしい。肩甲骨が柔らかくてカーブ、チェンジアップも良い。ローテーションに入って2桁は勝てる。力むと肩の開きが早くなるのでそこさえ気を付ければ。久々に良い投手を見たなという感じ。
-西武は
西本氏 2年目の中塚(駿太=右腕)が楽しみ。巨人から野上の補償で入った高木勇人にも期待したい。新外国人のカスティーヨも良かった。野手投げだがボールが低めに集まる。昔巨人にいたサンチェに似ている。リリーフで使えるのではないか。
-ソフトバンク2年目の田中正義は?
西本氏 まだ怖がって投げている印象。不安の中で十分に腕が振れていない。
-最後に復活を目指す中日松坂について
西本氏 テレビでの映像しか見ていないが、去年よりヒジが出ているし、体の開きも少ない。良くなっているのは間違いない。去年は砲丸かやり投げのような投げ方だった。本人も言っていたように、頭では分かっていても無意識のうちに(故障した右肩を)かばってしまうことがある。ただ、私も晩年、入団テストを受けて巨人に復帰(94年)した。テストを受けて中日に入団した男が1軍のマウンドに上がって投げる姿を見てみたい。ファンとともに夢を追い掛けたい。楽しみにしています。