元ロッテの里崎智也氏(野球評論家)の「ウェブ特別評論」を掲載中。40回目は「帝京大悲願V支えた8階建ての野球基地」です。


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 うれしいニュースが届いた。母校の帝京大が97年秋以来となる39季ぶり4度目の優勝を果たした。春の優勝となると1971年以来だ。97年秋に私は3年生だった。楽天などで投手として活躍した愛敬尚史らと喜びを味わった。


 卒業後、ロッテに入団した後も後輩たちの活躍はいつも気になっていた。チームを率いた唐沢監督は帝京大のOBで、社会人野球を経て、私が4年生の98年にコーチとして戻ってこられた。2部に落ちて苦しい時代もあっただけに喜びもひとしおだと思う。監督や後輩(選手)チームを支えたスタッフの努力が20年ぶりの優勝をもたらした。非常に誇らしい。本当におめでとう。


 優勝目前とはいえ日体大優勝の可能性もあり、気をもんでいた。あれは96年の春だったか。3試合で1つ勝てば優勝だったが、まさかの3連敗でV逃…。忘れもしない、東海大・森中聖雄投手(横浜などで活躍)に2連敗。日体大・小林雅英投手(ロッテなどで活躍)に最後は阻止され悪夢を味わった。今回は有終の美を飾ることができてホッとした。


 悪夢を味わった当時の私は、2年の春から試合に出場し初安打が初本塁打となった。4試合連続本塁打も記録した。野球の実力が伸びた時期でもありプロの道が徐々に開けていったことを思い出した。


 少々話が脱線したが、帝京大野球部の寮は「日本一の設備」と聞く。数年前、かつて薬学部で使用していた1棟をリフォームした8階建て。講堂がミーティング室、教室がウエートトレ室や数人が一度に打ち込み可能な打撃練習場など備え、環境は充実している。選手も環境を生かし、学校側も力を入れた成果が出て喜んでいるだろう。


 帝京大といえば、全国大学選手権8連覇のラグビー部、箱根駅伝16回出場の陸上部(長距離)、五輪金メダリスト松本薫を輩出した柔道部、空手部などがよく知られている。強化クラブの中でも野球部の存在感はここ数年薄かっただけに、晴れ晴れとした気分だ。


 20年前の97年秋。優勝した後、明治神宮大会では創価大に初戦負けした。後輩たちには、次の全日本選手権で、私たちができなかった日本一の夢実現に期待したい。


 ◆里崎智也(さとざき・ともや)1976年(昭51)5月20日、徳島県生まれ。鳴門工(現鳴門渦潮)-帝京大を経て98年にロッテを逆指名しドラフト2位で入団。06年第1回WBCでは優勝した王ジャパンの正捕手として活躍。08年北京五輪出場。06、07年ベストナインとゴールデングラブ賞。オールスター出場7度。05、09年盗塁阻止率リーグ1位。2014年のシーズン限りで引退。実働15年で通算1089試合、3476打数890安打(打率2割5分6厘)、108本塁打、458打点。現役時代は175センチ、94キロ。右投げ右打ち。


(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「サトのガチ話」)