さあ日付が変わればプロ野球春季キャンプがいっせいにスタートします。ヤンキースから広島に復帰した黒田の動向、楽天安楽ら注目のルーキーや新監督の動き、さらに開幕投手が期待される日本ハム大谷と見どころは多くあります。

 そんな中、日本一の人気球団とされる阪神のキャンプは正直、野球ファンやキー局のスポーツニュースなどからはいまひとつ注目されていない雰囲気。理由は簡単、新戦力が加わらなかったからです。

 我々、スポーツ紙の記者にとっても、ぶっちゃけ、興味を引くような記事がなかなか見つけにくい。もちろん虎党からすればナインの一挙手一投足を知りたいのは間違いないところでしょうが…。

 口の悪い同業者が「こうなるとアクシデント系ですかね~」と言う。事件、事故など深刻なものは、だれにとっても避けたいけれど、笑いですむようなちょっとしたトラブルは記事になりやすい。

 とはいえ、そう簡単に起こらんよな…と思っていると、いきなりの“提供”がありました。

 ゴメスのパスポート盗難事件です。母国ドミニカで来日直前に車上荒らしにあい、旅券、必要書類が盗まれてしまったという。

 これで2月1日のキャンプインには来日が間に合いませんでした。ゴメスは新加入だった昨年も家庭の理由で途中での参加。2年連続キャンプインには間に合わなかったことになります。

 球団はヒヤヒヤでしょうが、ゴメスは昨季、不動の4番に座り、いきなり打点王を獲得しました。つまりキャンプに遅れたことによる悪影響は特になかったという見方もできます。

 実際、大リーグのキャンプは2月半ばから始まりますし、個人差はあるでしょうが、外国人選手にとっては日本のキャンプは「早い、長い」感覚なのではないでしょうか。

 昔の野球選手はキャンプインしてからゆっくり体をつくる人が多かったと聞きますが、最近は自主トレをしっかりやって、キャンプイン時にはもう仕上がっている選手も多い。

 メジャー式、日本式、どちらがどうなのか。この時期、いつも考えます。

 もちろん我々にとっては慣れ親しんだ「さあ! 2・1キャンプイン!」という方がありがたいのは間違いないですけれど。