東京都市大付(西東京)の「絆バッテリー」は明治に敗れたが、完全燃焼した。中1からバッテリーを組む先発の桑原光希投手が「今日は1度も首を振ってません。負けたのは悔しいですが、出し切れた」と言えば、先発マスクの松岡泰希捕手(ともに3年)は「バッテリーとして、悔いはないです」と言い切った。

 息詰まる投手戦を演じる中、同点の8回無死、アクシデントに襲われた。3球目を投じた後に桑原が右ふくらはぎをつって、継投を決断。マウンドに松岡が上がって、桑原が捕手に入れ替わった。「うちの継投パターンなので」(桑原)。延長12回2死一、二塁からサヨナラ打を浴びたが、全力で戦い抜いた。

 同校は中高一貫校で、全国でも珍しく、中学は硬式球を使用するボーイズリーグに所属する。中1からバッテリーを組むが、桑原が捕手、松岡が投手の“逆バッテリー”は昨秋から。2番手捕手が不在で桑原が捕手の練習を開始。松岡は上投げの桑原とは異なるサイドスローに取り組み、スライダー習得にも励んだ。

 敗戦後、次なる舞台での対戦に思いをはせた。松岡は東大志望で、桑原は東京6大学への進学を志望。松岡は「神宮で戦えたらいいなと思います」と夢を抱き、桑原は「次は敵として、戦っているかもしれませんね」と笑った。「(この6年間は)親よりも長い時間、一緒にいた」バッテリーは、笑顔で高校野球生活に別れを告げ、大学での対決を誓った。【久保賢吾】

明治戦に先発した東京都市大付・桑原(撮影・久保賢吾)
明治戦に先発した東京都市大付・桑原(撮影・久保賢吾)