習志野(千葉)がブラスバンドの美爆音に後押しされ、鮮やかな速攻で10年ぶりのセンバツ勝利を飾った。日章学園(宮崎)から初回に7点奪取。先頭の竹縄俊希外野手(3年)が初球を打って失策で出塁。1死二塁で3番根本翔吾外野手(3年)が右前適時打を放ち、開始から6球での先制に成功した。“2人の主将”の活躍を小林徹監督(56)も評価した。2回戦では奥川恭伸投手の星稜(石川)とぶつかる。

根本の自宅は、祖父がコシヒカリを栽培する農家営んでいる。小さい頃から稲作作業をする祖父の傍らで、田んぼを駆け回り、田植え、稲刈りは家族総出で手伝った。母泰子さん(43)は「あの子の足腰が強くなったのは、小さい頃の環境が影響しているかも」と話す。自宅で栽培した米が大好きで、高校入学後は毎日5、6個のおにぎりを持参。昨秋、主将の重圧と厳しい練習で体重が減ったが母の握るおにぎりを頬ばり頑張った。「ウチのご飯は本当においしい。それに、母の握ったおにぎりはパワーがつくんですよ」。秋季大会ではチームNO・1の10打点をたたき出した。

初戦前夜、泰子さんの携帯に根本からメッセージが届いた。「僕は、家族みんなのおかげで野球ができています。感謝しています。明日は家族の代表として頑張ってきます」。家族の愛情を力に甲子園で躍動した。【保坂淑子】