最後は失策絡みで失点しての1-3。ロースコアでの決着に甲子園は盛り上がらなかった。そんな今季91試合目、DeNA17回戦で今季初の出来事があった。

木浪聖也がベンチにいなかった。ルーキーながら開幕から1軍戦力となっている木浪が最初から試合に出られない状況にあった。登録抹消、いわゆる2軍落ちではない。「ベンチ外」という措置だ。

現在、プロ野球の1軍登録枠は29人。そこからベンチに入るのは25人だ。4人が1軍枠ではあるものの試合には出ない「ベンチ外」という措置になる。一般的には先発投手がベンチ外になることが多い。この日も木浪以外は西勇輝、高橋遥人、ガルシアの3人だ。

そして4人目が木浪だった。もちろんたまには野手が外れる場合もある。投手、野手それぞれの登録数のバランスも関係する。そうは言っても1軍にいながら試合に出られない野手というのは悔しい。

野球選手がつらいのは試合に出られないこと、練習ができないことだ。きつい言い方をすれば「きょうは要らない」と言われているわけだ。しかも内野手、それも遊撃を守る野手とあってはめずらしい気もする。

前日23日DeNA戦はベテラン鳥谷敬が100日ぶりのスタメン出場。この日の遊撃手は北條史也だった。阪神の1得点はその北條が放った2号ソロだった。

「そうですね。ショートはヤマほどいるんでね。いろいろと考えて。これからも模索していきますよ」。ヘッドコーチ清水雅治はそんな話をした。確かに木浪がいなくても代走から守りに入れる植田海もいる。

やはり打たなくては勝負にならない。木浪は今月6日広島戦(甲子園)を最後に安打がない。ここまで77試合出場、226打数53安打の打率2割3分5厘。出塁率も2割8分8厘だ。

3月オープン戦では12球団最多の22安打を放ち、同戦新人最多安打記録を更新。開幕スタメンを勝ち取った男は4カ月後のいま、苦しい戦いが続けている。

それでも同じ新人の近本光司同様、活躍すれば何かをチームにもたらす選手だと思っている。今季はもちろん、来季以降、北條をはじめ他の選手と定位置争いを続けるためにもめげている場合ではない。もっともそんなことは言うまでもないだろう。試合中、木浪は室内練習場で黙々と打ち込みを続けていた、と球団関係者に聞いた。(敬称略)