常総学院(茨城)が、走って走って、走りまくって優勝した01年以来14年ぶりの勝利を挙げた。宇草孔基主将(3年)、竹内諒外野手(3年)の2人が、個人1試合最多タイの5盗塁をマーク。16安打13盗塁の猛攻で、米子北(鳥取)に大勝した。

 走って打ちまくる「無敵の常総劇場」が幕を開けた。初回から8回の最終打席まで、リードオフマンの宇草が走りに走った盗塁数は5。1試合最多タイだが、次の塁だけを狙っていた本人はよく知らなかった。「え、何個ですか」。1963年、谷木恭平(北海)以来52年ぶりの大記録。竹内も同じ数の盗塁を決め、チームとしては1試合最多にあと1に迫る13盗塁を記録した。

 昨夏の甲子園で4試合26盗塁を記録した高崎健康福祉大高崎(群馬)のお株を奪うほどの盗塁数と知り、宇草の大きな目はさらに丸くなった。それでも「サインは出ていたかもしれませんがよく覚えていません(笑い)。100%行けると思ったから行きました」とサラリと言ってのけたのは研究の成果。「ビデオを見て癖が分かりました」と、投手の上体の向き、グラブの位置を見ながら総合的に判断しスタートを切った。

 50メートルで6秒0の俊足は、バスケットボールの選手として高校インターハイで優勝経験のある母克己さん(49)に似る。「足も速かったみたいで。良いものをもらいました」と、183センチの長身を前傾させ果敢に盗塁を決めた。8回にこの日3本目の右前打で出塁すると「2番竹内」の2球目に二盗。4球目には三盗し、計5盗塁を決めた。

 そんな宇草が「健大高崎ではなく、ライバルはあいつです」と語る竹内は1安打ながら、8回に1イニング最多タイとなる3盗塁を決め、こちらも宇草同様に5盗塁。「ビックリです」と50メートル6秒0の足を使ってかき回した。この回、長打を含む7安打を固め打ち。試合終盤でも攻撃の手を緩めることなく、6得点のビッグイニングを作った。

 荒原、和田がともに公式戦初となる大会第1号、2号本塁打を放ち16安打14得点の猛攻で米子北を撃破した。佐々木力監督(48)は「走塁は木内(前監督)さんの時からやっていること。今回ははまりました。2本塁打も出来すぎです」と謙遜したが、周囲に与えた印象はとてつもなく大きかった。【和田美保】