八戸学院光星(青森)が、大阪桐蔭に敗れた。エース右腕中川優(まさし=3年)は、初回に頭部死球を含む3四死球1安打で2失点。2回から立て直し、完璧な投球を見せたが、7回裏にソロアーチなど3安打を浴び、さらに2失点。自身3季連続の甲子園で初黒星を喫した。大阪桐蔭には12年春夏と決勝で敗退。3度目の対戦でリベンジはならなかった。

 「すごく意識しました」。強い大阪桐蔭のイメージが、中川の制球を狂わせた。初戦の九州学院戦では外角の変化球をうまく使い、7安打2失点完投。この日は大阪桐蔭に外角を狙われると読み、あえて普段はやらない内角攻めを徹底した。それが裏目に出た。1死から2番永広に左前打を打たれ、3番打者の足、4番の頭部に連続死球。続く5番の犠飛で1点を失った。6番にも死球、続く7番にも四球と乱れて押し出し。「内に、内に、と思って(球が)抜けてしまった」。相手を意識し過ぎて自滅した。

 だが、2回から見違えるように調子を取り戻した。「いつも通りのピッチングをしよう」と切り替え、スライダー、カットボールなど多彩な変化球を低めに集める。6回まで毎回3者凡退と的を絞らせなかった。中川は「あのテンポ、リズムを初回から出来ていれば…」と悔やんだ。

 大阪桐蔭には、どうしても勝ちたかった。3年前の中2の春、中川は甲子園の内野席から光星学院(前校名)と大阪桐蔭の決勝を眺めていた。光星のマウンドには小学時代に所属した「北出戸モンスターズ」の3学年上の憧れの先輩、城間竜兵が立っていた。

 投球術、けん制などあらゆる技術を教えてくれた城間は先制2ランを浴び、6安打5失点で降板。その夏も光星が大阪桐蔭に負けるのを球場で目の当たりにした。「先輩の分も勝ちたかったというのはあるんですが」。思いを背負った3度目の挑戦も、はね返された。試合終了後、中川は悔しさを胸に押し込め、大阪桐蔭ナインに笑顔で「優勝してくれ」と声をかけた。

 昨年春、夏に続く自身3季目の甲子園。7戦目の登板で初めて黒星がついた。4失点も最多失点だった。仲井宗基監督(44)は「内容は良くてもエースは託された試合を勝たなきゃいけない。本人も悔しいと思っているはず。それを行動に変えなきゃ」と、期待を込めた。

 中川は「大阪桐蔭に勝てないと、その上に行けない。勝てるぐらいの力をつけて帰ってきたい」と、4季連続出場とリベンジを誓った。「大阪桐蔭」という厚い壁を、今度の夏こそ破る。【高場泉穂】