今秋ドラフトの目玉右腕、県岐阜商・高橋純平投手(3年)が3安打10奪三振で、甲子園初完封を決めた。1回戦に続き、最速150キロをマーク。近江(滋賀)を破り、2年ぶりの8強進出を果たした。

 聖地初完封は、10個目の三振で締めた。県岐阜商・高橋は9回2死からの代打を143キロ直球で空振り三振。18イニング自責0で8強入りを決めた。「初戦は甲子園に対するプレッシャーがあったけど、きょうは相手との対戦を楽しめました」。2試合連続で最速150キロをマークしての112球完封を振り返った。2試合で甲子園を味方につけていた。

 7回1死から「前回はいつだったか記憶にない」という連打を浴びて一、三塁。8回は味方の2失策で2死一、三塁。終盤のピンチも、1回戦同様に適時打は許さない。「常にリスクを背負ったイメージを持ち、心が折れない練習をしていますから。チームのエラーは帳消しにしたい。味方は点を取ってくれますから」。カーブが思うように決まらなくても、直球とスライダーで抑えきった。

 エースで主将を兼任する「二刀流」。ダブルの重責だとわかっていても、小川信和監督(43)は「主将は絶対に高橋」と譲らなかった。「高橋の一言は、影響力が大きいですから。話す力がありますから」と竹内友紀部長(40)。高橋の投げる力も言葉の力も不可欠と認めての抜てきだった。

 そんなスーパーな存在は、阪神能見にあこがれる。「しぐさ、立ち居振る舞いが好きなようです」と父康二さん(57)。実は能見本人もこの日、高橋の登板を気にしていた。プロの選手も高橋に注目する。

 連投できょう29日、13年春王者の浦和学院(埼玉)に挑む。「強いチームとわかっています」という相手に、宝刀フォークを解禁する。「毎試合、燃え尽きるまで投げたい」。その才能に限界はない。【堀まどか】

 ◆2試合連続2ケタ奪三振 県岐阜商・高橋と東海大四・大沢が記録。センバツでは11年三好匠(九州国際大付)以来で、北海道勢は04年宮田隼(鵡川)以来11年ぶり。