大阪桐蔭は福田光輝主将(3年)の反撃弾、吉沢一翔(かずと)内野手(2年)の3安打1打点などの活躍で、常総学院(茨城)を終盤に逆転。史上5校目の夏春連覇にあと2勝に迫った。

 苦境の時こそ、主将が打つ。1-3の5回1死、福田が右中間へ反撃の高校16号ソロ。7回は2死から同点につながる中前打を放った。2安打1打点2得点。打撃不振で2回戦・八戸学院光星(青森)戦から7番に下がった“元3番打者”は「自分の1本で流れを変えたかった」。復活の千金弾をそう振り返った

 常総学院の先頭・宇草のプレーボール本塁打から始まった試合。相手主将の一撃が福田には“援護”になった。「上からしっかりたたけばロングヒットになる」。ヒントをつかみ、逆転4強への一撃につなげた。

 プロ野球が開幕した27日。2年前の主将、西武森が先発出場したオリックス戦。投手に向ける元教え子の獲物を狙うような目を、西谷浩一監督(45)は「久しぶりにぞくっとするような思いで」見た。「こういう気持ちが打撃では必要やと思わんか!?」。打撃の状態が上がらない福田、青柳らにそう問いかけた。

 福田自身も歯がゆかった。昨夏の全国制覇のあと、満票で新主将に指名された。「自分たちの代でも日本一になりたい」と、選手との対話を重視する西谷監督ですら舌を巻くほどミーティングを重ねてきた。だがセンバツで、思うような結果が出ない。2回戦でファウルを打った際、右手首を痛めた。テーピングをして試合に臨み、上昇への手応えもつかんだ。

 13年夏の森、14年夏の中村誠(日体大)に続く主将3代の本塁打。「福田にはプレッシャーをかけ続けてきました。それくらい出来る選手」。西谷監督は昨夏経験者の底力を信頼している。頼れる主将がよみがえり、夏春戴冠へあと2勝だ。【堀まどか】