宮城の現役最年少審判員は、楽天今野龍太投手(19)の元女房役だった。岩出山高野球部元主将の山田裕之さん(19)が、今春から審判員としてデビュー。26日は北部地区予選敗者復活戦の古川黎明-一迫商戦で三塁塁審を務めた。2回表1死満塁では、際どいタイミングのけん制に「セーフ」と大声で両手を広げ、公式戦3試合目とは思えぬ堂々とした姿を見せた。延長10回、3時間43分の激闘を終えると「自信を持って判定できたけど、試合時間が長くなってしまった。もっと攻守交代の駆け足を促す声をかけます」と反省を忘れなかった。

 審判への道を志すきっかけは高3の夏だった。背中越しに聞こえる球審の声に「かっこよかった。自分もやりたいと思った」と、あこがれを抱いた。高校卒業後は地元の精米会社に勤めながらルールブックで勉強を重ね、週末は母校の練習試合などで約30戦の経験を積んだ。講習会や書類審査を経て、今春から新たな“ユニホーム”に袖を通した。遊ぶ暇もない毎日を過ごしているが「まだ公式戦は緊張するけど、楽しいです。選手が安心してプレーできるような環境をつくりたい」と目を輝かせた。

 現在、宮城の審判員は115人。数は年々減少しており、50代以上が大半を占める年齢構成からも若い人材の育成が急務だった。山田さんは「長く続けて、コボスタで県大会決勝の審判をやりたい」。高校最後の試合で今野の球を受けた楽天の本拠地に立つことを夢見て、19歳が大きな1歩を踏み出した。【鹿野雄太】

 ◆山田裕之(やまだ・ひろゆき)1996年(平8)1月11日、宮城・大崎市生まれ。池月小5年から池月イーグルスで野球を始める。ポジションは内野手。岩出山中を経て岩出山高に進学。2年秋から捕手に転向し、主将を務めた。家族は両親と弟。169センチ、60キロ。血液型O。