浜松商が東部王者でプロ注目右腕・小沢怜史(3年)を擁する日大三島を下し、6年ぶり34度目の夏シード権を獲得した。先発の大橋建斗(2年)が5安打1四球完封と好投。3回に池谷竜晟(3年)の適時打で奪った1点を守り抜いた。

 浜松商の大橋がギアを上げた。1点リードで迎えた9回2死一塁。打席には、投手戦を演じてきた日大三島の小沢を迎えた。「巡り合わせじゃないけど、小沢さんで終わらせようと思った。絶対に抑えたかった」。宣言通り二塁ゴロに打ち取ると、“相棒”の尾浜徹捕手(2年)と笑顔でハイタッチを交わした。

 ピンチにも全く動じなかった。5回まで毎回のように長打を浴び、常に得点圏に走者を背負う。それでも「今日は真っすぐが走っていた。変化球も大事なところで良いところに決まった」と、緩急自在の投球で要所を締めた。東部王者の日大三島打線を5安打ゼロ封。大橋は「1点があったから、ピンチでも力まずに投げられたと思う」と、好投の要因を明かした。

 3回2死三塁の好機で、2番池谷に打席が回った。「2球スライダーに空振りしていたので、決め球も同じだと思った」と直前の“失敗”を布石に、狙い通りスライダーを強振。中前に運び、値千金の先制点を奪った。池谷は「自主練の成果。後輩に感謝したい」。昨年の6月以降1日も欠かさずに行ってきた朝練を共にした沢中雄斗と鹿野巧(ともに2年)への感謝を口にした。先発外のメンバーも一体となって奪った1点が、エースを支えた。

 目標のシード権を獲得したものの、ナインに満足感はない。プロ注目右腕に投げ勝った大橋は「自信になった。この先も粘りの投球でチームに貢献していきたい」。池谷も「目の前の1戦1戦に集中して勝ち続けていきたい」と、続く常葉学園橘との準々決勝を見据えた。快進撃はまだ終わらせない。【前田和哉】