今秋ドラフトの目玉、最速152キロの県岐阜商・高橋純平投手(3年)が、直球とカーブだけの省エネ投球で、8回76球で無失点に抑えた。12球団45人のスカウトの前で、宮崎学園に勝利。

 8強入りした今春センバツでは、準々決勝までスプリットを封印した高橋が、今度はスライダーまで投げなかった。序盤から相手打線が直球狙いと感じると、100キロ前後の落差あるカーブを多投。1回は7球中、5球。全76球中、19球がカーブで4安打に封じた。

 「カーブを多くして、真っすぐを生かすようにしました。スライダーは取っておこうと思った」と言った。後半の勝負どころで投げる考えもあったが、2つの球種で十分とばかりに無失点に抑えた。8回で76球。少ない球数で打たせて取る、連投が待つ夏を見据えた省エネ投球で力を見せた。

 ネット裏には遠く宮崎まで、編成トップを含む12球団45人のスカウトが集結。DeNAのスピードガンでは、148キロを2球計測した。試合前には小川信和監督(43)に、この日のテーマは「ノンビリ投げる」と伝えた。序盤から飛ばさず、徐々にペースアップする意味で、周囲のヒートアップなんて気に留めずに、意図を持って投げ続けた。

 センバツ後最長タイの8回を投げて0封。8日は18歳の誕生日で、チームメートにコンビニのロールケーキで祝ってもらった。「高校野球は残り少ない。あと3カ月、1日1日に丁寧に戦っていきたい」と言った。夏の岐阜県大会まで残り2カ月。もう1度甲子園に戻るまで負けられない。そんな18歳の決意を込めた76球だった。【前田祐輔】