静岡県大会優勝の静岡がしびれる展開をものにした。土岐商(岐阜2位)に4-1とリードで迎えた8回に2点を返され、最終回も無死三塁のピンチ。それでも2番手の村松遼太朗投手(3年)が無失点で切り抜け初戦を突破した。今日23日には準決勝が行われ静岡は津商(三重2位)と対戦する。

 8回裏2死一塁、静岡のベンチが動いた。先発の村木文哉(2年)が2点を失い1点差に詰め寄られた場面だ。「8回に入って、準備しておけと言われたのでブルペンに入った。呼ばれて戻ったら1点差になっていてびっくりした」と村松。センバツ準々決勝の敦賀気比戦以来となる公式戦の救援登板となった。迎えた打者の初球が暴投で二進されたものの、二飛でしのいだ。

 最終回も簡単には終わらなかった。先頭打者に二塁打、次打者の2球目に暴投で三塁に進まれる。ここで内野陣は芝生切れ目の定位置。「9回の登板前に、同点OKと言われた。でも失点するのはいやだったから低めを意識した」と村松は遊ゴロに仕留める。つまった当たりだったため、村松は「同点にされたかな」と思ったものの、走者は動かず1死三塁となった。

 今度は内野が前進守備をしいた。右打者膝元へのスライダーをひっかけさせて三塁ゴロ。またもくぎ付けにすると、最後はスライダーを3球続けての空振り三振で試合を締めた。センバツで高めに抜けた反省を生かし「握りも確かめながら。しっかりコントロールできた」と頼もしく話した。

 県大会準々決勝は先発2安打完封し、この日は終盤のピンチで救援した。先発に救援にとフル回転し、村松は「成長してますよ」と胸を張った。

 センバツの2万3000人の大観衆の前で投げた村松にとって、緊張は無縁となった。「どんな場面でも持ち味のマウンド度胸で勝負しようと思う」。左膝からすねにかけてマウンドの土で汚れるようになった。スライダーが低めに決まっている証しだった。【加納慎也】