石巻が昨夏甲子園出場の利府に逆転サヨナラ勝ちし、2001年(平13)以来14年ぶりの4強入りを決めた。

 劇的勝利に、思わず校歌を歌うボリュームが上がった。石巻が集中力をとぎすませ、逆転サヨナラ勝ちをつかんだ。1点を追う9回裏。2安打と犠打で1死一、三塁のチャンスをつくると、5番の千葉大誠(2年)が初球をすかさずスクイズ。「普段から練習をしてきたので」と一塁側に転がし三塁走者をかえした。

 さらに2死二塁で打席は、すでに2安打の6番阿部修也(2年)。左翼方向へ特大ファウルを打った後、ひと呼吸置いて、右中間を破るサヨナラ安打を打った。昨年秋は背番号2を背負ったが、春を迎えると結果を求め「プレーが思うようにいかなく」なり、背番号12に降格。先発も外れたが、鈴木将来監督(36)の「結果を恐れずやれ」の言葉で目を覚まし、地区大会3戦目の登米戦で先発復帰した。思い切りのいいスイングで勝負を決め、「今日は満足できるプレーができた」と笑顔で振り返った。

 48年夏に1度甲子園出場した古豪だが、近年は県の上位に食い込めていなかった。「きれいに勝とうと思ってない」(千葉)。「粘り強くやるしかない」(阿部)と謙虚な姿勢が勝負強さにつながっている。鈴木監督も「腹をくくってやれている」と選手のメンタルの強さをたたえていた。【高場泉穂】