センバツ準V校が、3季連続の甲子園出場へ好発進した。南北海道の札幌地区で、東海大四が北広島西に7回コールド勝ちし、初戦を突破した。春は不調だった山本浩平右翼手(3年)金村航成二塁手(3年)のセンバツ組が復活の兆し。2回に7番山本の左越え適時二塁打、2番金村の適時内野安打などで4点を先行し、6回は金村らの適時二塁打2本で突き放した。

 センバツ後の不振から、見事に抜け出た。2回1死一塁から、先制の適時二塁打を放った東海大四の山本は「逆方向を意識して打撃練習をしていたので、その成果です」と、久々に明るい笑顔を振りまいた。2死三塁からは、金村が一塁へ適時内野安打。夏の定位置が危ぶまれた時もあった2人の甲子園準V戦士の活躍に、大脇英徳監督(40)は「気流に乗れた感じ」と、安堵(あんど)の表情だ。

 山本は、新チーム結成時から中軸を担いながら、練習への姿勢や不調で春の全道大会ではベンチ入りすら出来なかった。そして、持ち前の守備力に自信をなくし、スタメンから外れることも多くなっていた金村。「このままじゃ、後悔しか残らないと思った」と言う金村は、連日、居残りで守備練習を繰り返した。この日、全打席で4安打し、2打点。「いつも通りの打撃が出来た」と笑顔で語れるのは、守備への不安が薄れてきた証拠でもある。

 開会式前日の夜11時頃、寮の洗面所は妙な熱気に包まれた。宮崎隼斗主将(3年)の号令で、全員が頭髪を五厘に刈った。最後まで抵抗したエース大沢志意也(3年)も、ついには折れて、くりくりの頭がきれいにそろった。理由は単純明快。「みんなで同じことをすれば、ひとつの方向に向けるかなと。見せ物じゃないです」と宮崎は苦笑いするが、チームの一体感が高まったことは確かだった。

 目指すのは、08年夏の駒大岩見沢以来となる、3季連続の甲子園出場だ。強い絆で結ばれた縦じま軍団の夏が、幕を開けた。【中島宙恵】