旭川凌雲が23年ぶり2度目の地区代表に王手をかけた。留萌を退けた。校名変更となる来年4月の旭川東栄との統合前「最後の夏」。エースで主将の西川紘平(3年)が、投げては7回2失点、打っては5回表に決勝2点三塁打とチームをけん引した。

 拮抗(きっこう)していた試合の流れを、西川が一振りで呼び込んだ。1-1の5回表1死二、三塁。外角高めのスライダーをたたくと、打球は右中間を深々と破った。三塁まで達した主将は3度、ベンチにこぶしを突き出す。「練習試合を含めて1カ月ぶりのヒット。メチャメチャうれしくて」。投手としても7回2失点と、試合をつくった。「やっぱり頼りになる男」。副将の乙竹陸中堅手(3年)はべたぼめした。

 旭川凌雲は来年3月に閉校、4月に旭川東栄と統合した新設校として生まれ変わる。昨秋の新チーム発足後、投票で主将に選ばれたのが西川だった。「最後にチームを北大会に連れて行こう」。四半世紀近く遠ざかる大舞台を意識した。今年4月には山田睦彦監督が就任。「新監督を最初で最後の北大会に」の思いも加わった。

 仕上げの迫った5月の練習試合で、左太ももを肉離れ。自転車で登校できず、両親の車での登下校となった。その間、10キロのダンベルを両手に持って上半身をパワーアップ。クラス委員長として、学校祭で発表する劇の完成度も横目で気にしながら、1年前に描いた夢へ突き進んだ。

 昨夏の帯広遠征で「こてんぱんにやられたので、仕返しがしたい」という帯広緑陵の143キロ右腕・長江理貴投手(3年)へのリベンジも、北大会出場が前提条件。「道具の片づけも率先してやる最高の主将」(山田監督)率いる旭川凌雲が、代表決定戦を勝ち抜き、校歌の一節にある「雲を凌(しの)いで、飛翔(はばた)かん」を現実にする。【中島洋尚】

 ◆旭川凌雲92年夏VTR 旭川地区の初戦2回戦で鷹栖を7-0で下すと、3回戦6-2富良野工、代表決定戦15-3旭川西と勝ち上がり、初めて地区突破。北北海道大会は、優勝して甲子園に出場する砂川北と1回戦で対戦し、7回コールド0-8で敗れた。