“大谷投法”で頂点だ! プロ注目の最速141キロ右腕、ルーテル学院(熊本)中村晨(しん、3年)が5回2/3を投げ4安打1失点で勝利に導いた。本調子でなく途中降板も、日本ハム大谷を意識し、190センチの長身を生かした直球で集結したプロ10球団のスカウトをうならせた。

 日本ハム大谷ばりのダイナミックなフォームで躍動した。中村は動画サイトで研究を積み重ね、「上からの投げ方や踏み込んだ時の開きを意識している」という投球で翻弄(ほんろう)。193センチの大谷とほぼ変わらない190センチから角度のある直球を投げ込み、カーブやスライダーも効果的に操った。

 この日、「下半身の疲れがあった」(中村)と最速は139キロ止まりで四死球も5つ出した。本調子ではなく6回途中降板したが、集結したソフトバンク、巨人、広島など10球団のスカウトをうならせるには十分だった。ソフトバンク福山スカウトは「大きいわりに器用なタイプ。将来性がある」と話した。

 中学時代は捕手だった。だが高校入学後、園田松吾監督(38)が「身長のわりに肘の使い方が柔らかい。投手でものになると思った」と、1年夏の終わりから本格的に転向させた。中村も「したかったので“やった”と思った」と意気込んだ。転向当時、直球は120キロ台前半だったが、クロスカントリーや坂道ダッシュ80本などで鍛えられ飛躍。入学時から身長が10センチ伸び、体重も約7キロ増した影響も大きかった。

 新チームからエースを務める。6月に行われた宮崎学園との練習試合で最速141キロを記録。成長の証しだった。この日は封印したが今春から習得に励んだフォークも武器にする。「一番はプロ。もし行けるなら高校を出てすぐにでも」。初の甲子園出場へ。目指すプロ入りへ、頂点奪取を励みにするつもりだ。【菊川光一】

 ◆中村晨(なかむら・しん)1997年(平9)8月8日、熊本市生まれ。野球は慶徳小4年の時に春日少年野球クラブで始める。藤園中で軟式野球部所属。ルーテル学院では新チームからエース。50メートル6秒5。趣味は漫画を読むこと。右投げ右打ち。190センチ、81キロ。血液型A。