激戦の福岡大会で、2年生右腕が大きな勝ち星だ。春3度、夏3度の甲子園出場を誇る福岡大大濠が、今春センバツに出場した九産大九州を撃破した。背番号「10」の右腕、浜地真澄投手(2年)が3安打完封し、打っては貴重なソロアーチ。89年以来、26年ぶり4度目の夏の甲子園出場へ弾みをつける1勝を飾った。

 強豪撃破の白星を決めた瞬間、浜地がこん身のガッツポーズだ。最後の打者を気迫の120球目で遊飛に仕留めた。「最初からいけるところまで全力で投げようと思った」と初回から全開。「後半バテバテになった」と笑ったが、キレのある直球とカーブ、スライダーで九産大九州の打線を翻弄(ほんろう)。背番号「10」の右腕が、3安打完封だ。

 バットでも勝利をたぐり寄せた。1点リードの5回無死。先頭打者の浜地は、九産大九州・岩田の甘く入ってきたツーシームを見逃さなかった。左中間に公式戦2本目となるソロアーチ。今春にセンバツ出場した岩田と同じ2年生。面識はなく「相手どうこうより、チャレンジャーなので、しっかりできることをやろうと思った」と謙遜したが、気迫では負けていなかった。

 福岡大大濠での甲子園出場が夢だ。小1から野球を教わる父浩充さん(49)は、同校が森山良二(現楽天投手コーチ)らを擁し81年夏の甲子園に出場した時の1年生。浜地は高校進学時、県外の強豪校からの誘いもあったが、在校時の話を聞かされた父と同じ名門進学を選択した。「父の代で行っていないので、連れていきたい。OBも多いので期待に応えたい」。夏は89年以来遠ざかる聖地への思いは、人一倍強い。

 「小さい頃からの夢」というプロ入りも願っている。「自信がある」という制球力で戦国福岡を制し、飛躍のきっかけにしてみせる。【菊川光一】

 ◆浜地真澄(はまち・ますみ)1998年(平10)5月25日、福岡市生まれ。野球は元岡小1年の時、父が監督の元岡少年スピリッツで始める。元岡中で軟式野球部に所属し、3年時に県ベスト4。福岡大大濠では昨秋からベンチ入り。右投げ右打ち。183センチ、81キロ。家族は両親、兄、弟。