プロ注目右腕、大分商の森下暢仁(まさと)投手(3年)が初戦で別府青山・別府翔青を3安打完封し、3回戦に駒を進めた。プロ8球団計20人のスカウトが視察に訪れる中、自己最速タイとなる148キロを記録し、スカウト陣をうならせた。

 プロ注目の九州ナンバーワン右腕森下が、強風の中でも格の違いを見せつけた。初回、先頭打者相手に自身最速タイ148キロの直球を投じると、その後もテンポのいい投球で計9奪三振。三塁を踏ませない投球で初戦を突破し、端正な顔に少し笑みを浮かべた。

 「初戦の入りが大事だと思っていた。風が強いので当たっただけでスタンドに入ると思った。1発を気をつけながら投げた。自分のテンポで投げられたと思う」。スタンドにはソフトバンク、阪神、巨人、オリックス、日本ハム、楽天、広島、ロッテと計8球団のスカウト陣が勢ぞろいしたが「そんなに気にならなかった」と、緊張もなかった。

 この日の大分の最大風速は16・1メートル。台風11号の影響で大会旗などが降ろされるほどで、時おり雨も交じる中、変化球はスライダーとカーブだけで他の球種は封印。打線が5回まで無安打に抑えられ、我慢比べとなったが「失点したらチームの雰囲気も悪くなる。点が入るまで踏ん張ろう」と奮起。7回に打線が奪った2点のリードを守り切った。

 渡辺正雄監督(42)は「1球目にどんなボールを投げられるかが、彼のバロメーター。お前の背中でエンジンをかけろと言っていた。夏の初戦で皆がガチガチになる中、森下だけは落ち着いてやった。ここまで順調に育っている」と、無失点のエースをたたえた。

 控え投手として出番がなかった2年前の夏の甲子園以来、2年ぶり16度目となる全国舞台が目標。その先に待つプロ入りも視野に、森下の最後の夏がいよいよ始まった。【福岡吉央】

 ◆森下暢仁(もりした・まさと)1997年(平9)8月25日、大分市生まれ。野球は小3から明治少年野球クラブで始める。大東中で軟式野球部に所属し3年時に九州大会優勝。大分商では1年夏からベンチ入り、甲子園出場。昨秋からエース。今春の県大会2回戦で大分豊府を7回参考ながら無安打無得点。180センチ、70キロ。右投げ右打ち。