山形中央の4番青木陸捕手(3年)は、高校通算46本目の勝ち越し満塁弾を含む、3安打5打点の活躍。山形商を下して準々決勝に進出した。

 強引に引っ張った。同点に追いついた直後の4回2死満塁。山形商・黒沢が投じた内角低めのスライダーに、青木は食らい付いた。「泳がされていた。入る感じはしなかったけど」。誰もが左飛と思った当たりが、長い滞空時間を経て左翼席に突き刺さった。自身2本目、公式戦初となる満塁弾だ。

 満塁になった時点で勝負はついていた。日大山形、青森山田を甲子園に導いた敵将の渋谷良弥監督(68)に「青木の前に走者をためた時点で負けパターン」と言わしめた。庄司秀幸監督(39)は別の覚悟をしていた。「自分なら青木とは勝負しない。満塁でも勝負されないことも想定していた」という。

 本人も自覚していた。「勝負してくれたときにどう打てるか。チャンスで1球で仕留めるのが大事。いかに打点を稼ぐか」。万全な状態で開幕を迎えた。6月上旬に疲労性腰痛を発症。試合に出られない間、体幹トレに励んだ。「無駄な力がなくなった。下が使えてないときはダメ。下半身を意識してやった」。復帰後の練習試合で6本塁打を放ち、完全復調。最後の夏はこれまで、7打数5安打6打点と大爆発だ。

 19日の準々決勝は山形城北と激突する。青木は強調した。「去年とはチームがかわっている。下から挑戦者として狙っていく」。無欲の青木のバットで、同校初の連覇に導く。【高橋洋平】

 ◆青木陸(あおき・りく)1997年(平9)11月11日、山形市生まれ。成生小4年から野球を始め、天童一中では仙台ボーイズでプレー。山形中央に進学後は1年春から背番号15でベンチ入りし、1年秋から正三塁手。昨夏は甲子園に出場し、健大高崎との3回戦で本塁打を放った。2年秋から捕手に転向。181センチ、87キロ。右投げ右打ち。