二本松工の最速147キロ右腕吉羽あたる(3年)が、13奪三振5安打1失点完投、2安打3打点と投打に活躍し、シード校光南を破った。9回裏、最後の打者を三振で仕留めると雄たけびをあげてガッツポーズ。試合後は「超うれしい。相手はいいピッチャーだと聞いていたので、絶対負けないと思って投げた」と充実感でいっぱいだった。

 この夏1番の“シンデレラボーイ”だ。もともとの進路希望は消防士。9月の試験に向けて準備を進めていたが、大会前に大学から誘いが舞い込み、野球を続けることを決意。迎えた12日の夏初戦では最速147キロをマークし3安打完封。一気に名を上げ、この日はネット裏に7球団ものスカウトを集めた。この日スピードガンでの計測は143キロにとどまったが「体が強い」(広島近藤スカウト)「球に力がある。いい投手」(ロッテ井辺スカウト)と好印象を残した。

 「次はゼロに抑え、三振14個目指します」と吉羽。“いいことに当たるように”と付けられた「あたる」の名前通り、最後の夏の「当たり」はまだ続く。【高場泉穂】