九州学院が文徳を下し、春夏連続となる5年ぶり8度目の夏の甲子園出場を決めた。1年生の4番、村上宗隆一塁手が2安打1打点の活躍。同じ1年生として注目される早実・清宮幸太郎内野手との甲子園での対戦を心待ちにした。

 「肥後の和製ベーブルース」が、本家よりも一足先に甲子園出場を決めた。今大会6試合すべてで名門の4番を務めた1年生村上が、決勝の舞台でも堂々の活躍。今日26日に西東京大会決勝を迎える同じ1年生のスラッガー、早実・清宮との甲子園での対戦について聞かれると「楽しみです」と熱望。実現すれば5月の練習試合以来で「意識はするが、自分のほうが負けているので、あと2年間で追い抜きたい。野球はチームとしての勝負なので、自分が負けてもチームとして勝ちたい」と、謙虚に話した。

 この日は1点を追う3回1死一、二塁の好機で右前に同点適時打を放つと、2点リードで迎えた4回にも2死一、二塁から右前打。右翼の失策を誘い、5点目を加えた。優勝が決まると先輩たちに交じり、笑顔で歓喜の輪に加わった。

 高校入学前に初戦敗退した春のセンバツをスタンドで観戦。「先輩たちも皆、リベンジと言っていたし、夏は選手としてあの舞台に立ちたいと思っていた。最初は緊張したが、試合をやっているうちにほぐれた。勝ててうれしい」と、喜びを爆発させた。

 県内の注目投手の1人だった、東海大熊本星翔に通う兄友幸(3年)が準々決勝で敗退。自宅に帰ると「頑張れよ! 俺の使えよ」と、バッティング用手袋と肘当てを手渡された。小、中学時代は同じチームでプレーした。「兄の分もやってやろうと思った」と、兄の用具を身につけて打席に立ち、甲子園切符を勝ち取った。

 「甲子園は野球を始めたころから憧れていた格好いい場所」。最初の夏に早くも夢を実現させた15歳は、憧れの舞台での活躍を胸に、熊本からいざ聖地へと乗り込む。【福岡吉央】

 ◆村上宗隆(むらかみ・むねたか)2000年(平12)2月2日、熊本市生まれ。地域のスポーツクラブで5歳から野球を始める。託麻南小4年から野球部に入り捕手として活躍。長嶺中時代は熊本東リトルシニアで二塁手から捕手に転向。九州学院では打撃を買われ一塁手。高校通算4本塁打。家族は両親と兄と弟。185センチ、83キロ。右投げ左打ち。

 ◆九州学院 1911年(明44)キリスト教会によって創設された私立校。普通科のみで生徒数は1083人(女子428人)。野球部は創立と同時に創部。部員数89人。甲子園は夏8度目の出場で63年、10年の8強が最高。春は6度出場。OBは元西武高山久ら。所在地は熊本市中央区大江5の2の1。阿部英樹校長。

◆Vへの足跡◆

1回戦8-0東稜

2回戦3-1熊本学園大付

3回戦7-0必由館

準々決勝6-0翔陽

準決勝6-3多良木

決勝6-2文徳