連覇を狙う東海大相模・吉田凌投手(3年)が6回2/3を4安打1失点、10奪三振と好投し、7回コールドで日大藤沢を下した。もう1つの準決勝は、今夏限りで勇退する渡辺元智監督(70)率いる横浜が桐光学園にサヨナラ勝ちし、2年ぶりの決勝に進んだ。幾多の名勝負を繰り広げ、神奈川の高校野球界を引っ張ってきた両雄が今日28日、雌雄を決する。

 「ドクターK」の本領発揮だった。東海大相模の先発吉田は、日大藤沢から7回途中までに10奪三振。危なげなくコールド勝ちに導いた。昨夏決勝では大会タイ記録の20三振を奪っており、この日も初回の立ち上がりに宝刀スライダーで2三振を奪った。しかし、1年前と少し様子が違っていた。「ショートバウンドではなく、ノーバウンドでストライクゾーンに入るスライダーを練習してきた成果が出ました」。

 楽天松井裕を参考に縦のスライダーを磨き、昨夏は甲子園出場の原動力になった。ところが研究されるうち、次第にショートバウンドのスライダーは見切られるようになり、投球が苦しくなった。「少し高めの位置を狙う感じで投げると、真ん中より低めに決まるようになった」とカウントを取れるスライダーを身につけ成長した姿を見せた。

 初戦の足柄戦では緊張のあまり大暴投もしたが「状態は上がってきました。打倒横浜を目標にやってきて、最高の相手と決勝で戦えることになった。自分と小笠原の2人でやるしかないです」。同じくドラフト候補の小笠原慎之介投手(3年)が、準々決勝の平塚学園戦で3安打1失点(自責0)で好投したことにも刺激を受けた。巨人、ロッテなど国内6球団のスカウトが集まり、OBの巨人大田も後輩を見守った。

 昨夏は横浜と準決勝で戦い5-3で勝利した。それでも、門馬敬治監督(45)は言う。「打倒横浜を目標にしてやってきました。ありったけの力をグラウンドでぶつけたい」。全力でぶつかり、悔いのない戦いを約束した。【和田美保】

 ◆東海大相模VS横浜 過去の夏の神奈川大会では横浜の12勝7敗。東海大相模に原(現巨人監督)がいた74、75年まで4連敗したが、81年から8連勝。決勝対決は2勝3敗となっている。浅間(現日本ハム)高浜(同)を擁した昨年は準決勝で当たり、3-5で逆転負けした。07年準決勝では東海大相模・菅野(現巨人)が4回2死一、三塁からワンバウンドを空振り三振。打者にタッチせず、一塁にも送球せずベンチに引き揚げた横浜ナインを尻目に、ダイヤモンドを1周する「振り逃げ3ラン」の珍プレーがあった。