とっさに出したグラブに白球が吸い込まれた。1点差の9回無死一塁、今治西の守り。背番号6をつけたマウンド上の杉内が「捕れるところは捕る」と強烈なライナーを好捕し、一塁走者が戻れず併殺に。最後も杉内が反応よくゴロをさばき、歓喜の輪ができた。

 終盤、攻められても粘った。8回は無死三塁のピンチを杉内が2つの内野ゴロと右飛でしのいだ。春の選抜大会2試合で16四死球を与え、制球難克服のために横手投げに転向した右腕。「気持ちの問題。監督から『開き直ってやれ』と言われて気を引き締め直した」。

 大野監督のチーム全体への指示は「苦しい場面でも1歩も引くな」とシンプルそのもの。選手たちは、その言葉を忠実に守った。(朝日新聞)

 ◆今治西 1901年(明34)創立の県立校。生徒数は955人(女子481人)。野球部創部は、1905年。部員48人。甲子園は夏13度目、春は14度出場。主なOBは西武熊代聖人。所在地は今治市中日吉町3の5の47。山田里美校長。

◆Vへの足跡◆

2回戦3-1新居浜商

3回戦3-0今治東中教校

準々決勝10-1今治北

準決勝8-1松山北

決勝4-3小松