試合後、津商の選手たちは喜びと涙にあふれていた。決勝打を放った松葉は「いままでに経験したことのない、口では言い表せない気持ち」と興奮気味に話した。9回の大逆転劇で甲子園初切符をつかんだ。

 3点を追って迎えた9回1死、代打・奥出のゴロが遊撃手の前で不規則バンドとなり内野安打。さらに連打と死球で満塁。「技術より気持ちでバットを振った」という前田の打球が左翼越え同点二塁打に。

 続く松葉の場面。宮本監督の脳裏に「スクイズ」のサインが浮かぶ。「アカンアカン。選手らに任せよう」。松葉が内角高めの直球をたたきつけた打球は、前進守備の一塁手の頭上を越え2点を勝ち越した。

 「漫画でも描けないような展開。高校野球は恐ろしい」とは宮本監督。前田は「三重代表として、あいつらが出てよかったと言われるように頑張る」と言った。(朝日新聞)

 ◆津商 1920年(大9)創立された県立校。生徒数は796名(女子667名)。野球部は55年創部で部員数85人。甲子園は春夏あわせて初出場。主な卒業生はタレントで元ビーチバレー選手の浅尾美和ら。所在地は津市渋見町699。西尾雅二校長。

◆Vへの足跡◆

1回戦7-0津工

2回戦7-0木本

3回戦10-0尾鷲

準々決勝8-5松阪商

準決勝4-0四日市工

決勝8-6いなべ総合学園