父親譲りの勝負強さで、白星を呼び込む。明日6日、第97回全国高校野球選手権(甲子園)の開幕戦に登場する北海(南北海道)は4日、兵庫・三木市内のグラウンドで約2時間、ケース打撃などを敢行。競輪の最高ランクS級で活躍した父を持つ大矢勝幸二塁手(3年)が、2打数2安打と、試合形式の練習で打撃好調をアピールした。

 昨年引退した父勇一さん(44)は最高峰のG1競走に出走するなど、競輪界では知られた存在だ。プロスポーツの一線で活躍する父の姿を、間近で見て育った。「雨の日でも練習を欠かさなくて『練習はうそをつかない』とずっと言われてきた」。父の引退に「もう少し出来るかと思ったけれど、長い間、家族を支えてくれたので」。甲子園を目指し、大阪から北海道へ渡って3年目。ようやく父に勇姿を見せる機会がやって来た。

 169センチ、64キロと小柄だが、1年秋にベンチ入り。最大の持ち味は堅実な守備だが、打撃もなかなか勝負強い。今夏の南北海道大会準々決勝の駒大苫小牧戦では延長13回、勝ち越し点につながる三塁打を放った。平川敦監督(44)が打線のキーマンに挙げる1人だ。

 開幕戦の相手、鹿児島実(鹿児島)は、右の2枚看板を擁する。左打者の大矢にとっては好都合で「(駒苫のエース伊藤大海に)タイプは似ている。先制されても慌てず、落ち着いて1点ずつ取っていきたい」。追い込みで活躍した父のように、勝機を見極め、一気に攻める。【中島宙恵】