花咲徳栄(埼玉)の主砲大滝愛斗外野手(3年)が9回にランニング本塁打を放ち、大勝に花を添えた。左翼フェンス直撃の飛球。ボールが転々とするのを見るや、速度を緩めることなく三塁を蹴ると、一気に本塁へ滑り込んだ。高校通算28号は生涯初のランニング弾だった。「最初の打席でチャンスに貢献出来てなかったので、最後に役に立てて良かった。ボールの周りに野手がいなかったので、迷わず行きました。足が一番の売りです」と笑顔を見せた。

 初回に1死一、三塁で巡ってきたチャンスでは二ゴロながら先制点を呼び込んだ。「チームのために、先制点が大事だったのでOKです」と自分に言い聞かせた。結果を出したいあまり肩に力が入った。凡打の中にも光明を探し前向きになれた。

 俊足は1人ノックで培われた。小3で地元少年団に入る前、近所の大きな空き地で自らノックした。打った球を追いかけ、止まるまでにキャッチするルールを設定。ひたすら繰り返した。父光紀さん(42)には幼少時から「何事にも全力でやれ」と教えられた。野球だけじゃなく、かけっこもサッカーも全て全力。何をやっても突出した。それが友人からの反感を買った。「おまえは仲間に入れない」。父からは「そういうやつは将来、見返せばいい」と突き放された。その先にあったのが1人ノックだ。

 「絶対にプロになりたい。だからいい成績を残す。見返したいし、弟2人(小5と小4)や家族にも恩返しがしたい」。強い気持ちで結果を出した。【高橋悟史】