関東第一(東東京)のドラフト上位候補、オコエ瑠偉外野手(3年)が、俊足を生かした「一塁強襲二塁打」を含めて、3安打4打点と大暴れ。3回には49年ぶり史上2人目の1イニング2三塁打をマークし、高岡商(富山)を破り、16強進出を決めた。

 「チーター」オコエがトップギアで加速した。1回先頭。高めに入った136キロの直球をとらえると、強烈な打球が一塁手のグラブをはじいた。「甲子園のファウルゾーンは広い。狙ってました」と迷わず一塁を蹴った。獲物を狙う野獣のように、跳び上がって二塁ベースにスライディング。聖地4万3000人の心を、2球目のファーストプレーでわしづかみにした。

 東東京大会決勝で記録した「センター前ツーベース」に続き、規格外の「一塁強襲ツーベース」を決めて先制の生還。3回の1イニング2三塁打は、100年の歴史を持つ大会で49年ぶり2人目の快挙だ。

 一塁側アルプスでは、父ボニーさん(55)が、甲子園初観戦。ロッテ松本編成統括は「積極性がある。(元日本ハム)新庄タイプ。スター性がある」と絶賛した。一塁到達タイムは、右打者で4秒を切ればプロでもトップレベルだが、ロッテの計測で3秒98をマーク。高校生離れしたスピードで甲子園を駆け回った。

 守備では4回2死満塁からの中前打を、本塁送球のふりをして、オーバーランした走者を狙って三塁送球。落ちた帽子が右腕に当たって悪送球になったが、遠投120メートルの強肩と視野の広さをアピールした。打って、走って、投げての「オコエ劇場」で、5年ぶりの勝利をつかんだ。【前田祐輔】

 ◆オコエ瑠偉(おこえ・るい)1997年(平9)7月21日、東京・東村山市生まれ。小1から捕手で野球を始め、小6で外野手に転向。東村山六中では東村山シニアに所属。ナイジェリア人の父ボニーさんが、サッカー選手になってほしいとの願いからラモス瑠偉(FC岐阜監督)の「瑠偉」と名付けた。ロッテ内は親戚。高校通算36本塁打。50メートル走5秒96。遠投120メートル。視力2・0以上。183センチ、86キロ。右投げ右打ち。夢はメジャーリーガー。