花咲徳栄(埼玉)は無失点リレーで、鶴岡東(山形)に勝利し、夏は初の8強進出。17日の準々決勝では、東海大相模と激突する。

 戦後70年の黙とうを挟み、花咲徳栄が完封リレーで8強へ進出した。投手戦となった0-0の7回表。1死一、二塁のピンチで抑えの高橋がマウンドに向かった。鶴岡東の代打阪本をフォークで空振り三振、続く柿崎を直球で見逃し三振。「ゴロを打たれても進塁されるので三振を狙いました。ピンチで行くのはいつも通り。練習試合でもピンチの場面で投げて来たので」。マウンド上の鬼神のような表情からは一変。インタビュールームでは、照れながらか細い声で振り返った。

 先発の鎌倉は7回途中まで無失点に抑えた。毎回走者を背負う苦しい内容だったが「いい試合ができた。コースに投げ分け、ピンチを切り抜けられた」とうなずいた。

 6回が始まる前、終戦の日で黙とうが行われた。岩井隆監督(45)は試合2日前のミーティングで、社会科の授業を行った。新聞の1面と5面にあった第2次世界大戦関連の記事を全員に読ませた。気になるところに赤線を引き、感想文を書き、米沢主将、鎌倉、大滝に発表させた。

 米沢は「普通にご飯を食べられることや、野球が出来ることがいかにありがたいか気づかされました」。世界史を教える岩井監督は「何も分からずに、ただ黙とうするわけにはいかない。何かを感じて、1球1打に全てを出し切ってほしい」と意図を説明した。

 初戦の18安打からこの日は6安打に封じられた。半面、7回に奪った1点を守り切る勝負強さを見せた。進化した打力、投手力で東海大相模に真っ向から挑む。【高橋悟史】