オコエの「神足」が3連覇を狙う米国を打ち砕いた。高校日本代表が米国から04年以来、11年ぶりの勝利を挙げた。不動のリードオフマン、関東第一・オコエ瑠偉外野手(3年)が5回、適時内野安打に失策に乗じた3点目と、自慢の俊足で貴重な2点を奪った。1次リーグ最大の難敵を撃破し、今日30日は同じく2戦2勝のオーストラリアと対戦する。

 オコエが止まらない。5回。1点を先制し、なお2死二塁。フルカウントから高めの直球に手を出し、たたきつけた打球が一塁手のもとへ高くはねた。「上っ面をたたいてしまって。グラウンドに助けられました」と苦笑いしたが、50メートル5秒96の俊足を飛ばし、適時内野安打にした。甲子園を魅了した足で、貴重な2点目をもたらした。

 オコエの「ショータイム」は終わらない。次打者・篠原の2球目にすかさず二盗。3番平沢の打席では、けん制球に誘い出されて飛び出したが、挟み込んだ三塁手の二塁送球がそれた。右翼手がファンブルしたのを見ると勢い良く三塁を蹴った。「日本ではボークになるフォームが国際大会は違う。まだ対応しきれていません」とまた反省したが、本塁タッチアウトのタイミングを絶妙なスライディングで逃れ、3点目のホームを踏んだ。先に2盗塁を決めた9番船曳の走塁も参考にした。

 メジャー予備軍の左腕エースを足で攻略した。先発したブラクストン・ギャレット投手(18)は、来年のドラフトで1巡目指名が有力視される逸材。救援したジョーダン・バトラー投手(16)と合わせ、日本は左腕コンビに14三振を喫したが、足を使ってワンチャンスをものにした。オコエは「アメリカに勝てたのは大きな自信になりますし、この自信を次に生かして気を抜かずに頑張りたい」と初戦に続き2安打し、笑顔で汗をぬぐった。

 2年前は決勝を含め米国に2連敗した。西谷浩一監督(45)を始め、コーチ陣も当時と全く同じ布陣。雪辱は課題だった。西谷監督は「木のバットではそんなに打てない。だから、足の速い選手を優先的に選んだ。オコエの1番、9番の船曳が裏1番という形で。ここ一番で点数につなげられた」と勝因を語った。「OKOYE」に引っ張られながら、初優勝へ突っ走る。【和田美保】