怪物ルーキーにアクシデントが発生した。第27回U18(18歳以下)ワールドカップ1次リーグで、高校日本代表が7回コールドでチェコに圧勝。開幕4連勝で首位通過を決めたが、早実・清宮幸太郎内野手(1年)が左膝の違和感を訴え3回裏に途中交代。主軸にケガ人が発生する中、東海大菅生・勝俣翔貴(3年)が今大会チーム初本塁打となる先制3ランなど気を吐いた。初の世界一へ2次リーグは総力戦必至の状況になった。

 清宮の体に異変が起こった。今大会初めてDHではなく「4番一塁」で出場したが「試合前のキャッチボールから変な感じがした」と左膝の違和感を抱えながら2打席凡退。「打つのは大丈夫だけど、走ったら変だった」と3回裏の守備からベンチに退いた。試合後は「原因? 自分が知りたいです。今までケガしたことがない箇所だけど、少し違和感があるくらいなので大丈夫です。試合にも出たい」と軽傷を強調した。

 試合中は治療に専念した。高校初の途中交代後は左足を引きずるしぐさを見せたが、ベンチ裏の控室でアイシングやテーピングを施した。今日1日のメキシコ戦以降の出場については「病院に行くとかは考えてない。朝起きて、トレーナーさんと相談して決めたい」。西谷監督は「明日(1日)に関しては、わからない」と話したが、状態次第では欠場する可能性もある。

 西東京大会と甲子園からの疲労の蓄積は大きかった。今大会は不振に陥り、監督は「膝のことがなくても、最初の2打席で代えようと思った」と明かした。さらに「結果も出ていないし、集中力が切れている。1年生の甘さが出ている」と厳しく指摘した。

 清宮のアクシデントもあり、スクランブル態勢を余儀なくされた。前日8月30日のオーストラリア戦で死球を受けた東海大相模・豊田がこの日大阪市内の病院で精密検査を受け、左膝にひびが入っていることが判明。今大会の出場は絶望となった。外野手登録は豊田を含めて3人だけ。監督は「右打者も少ないから痛いと思っていたのに、まさか清宮もこんなことになるとは…。痛いですよ。本来の4、5番がいなくなる形ですから」と眉間にしわを寄せた。

 今後を見据え、6回裏の守備からは中学時代に外野手経験のある正捕手の静岡・堀内を右翼で試した。「全員でカバーするしかない」。西谷監督の言葉どおり、悲願の世界一は総力戦でつかみ取る。【鹿野雄太】