第27回U18(18歳以下)ワールドカップ2次リーグ最終戦で、高校日本代表はキューバに快勝した。今秋ドラフト上位候補の仙台育英・平沢大河内野手(3年)は初回に左中間への先制2点適時二塁打を放つなど2安打3打点。夏の甲子園では1本もなかった逆方向への安打で、非凡さを見せつけた。今日6日は米国との決勝戦、仙台育英・佐藤世那投手(3年)を先発に、初の世界一に挑む。

 平沢の打球が左中間へぐっと伸びていく。初回に訪れた2死二、三塁の最初の好機。高めの直球を逆らわずに運び、2人をかえした。3回にも左前適時打を決め計3打点。2次リーグから打順が3番から5番に替わり、西谷浩一監督(45)からは「打点を稼げ」と期待をかけられている。4試合連続となる打点をマークし、試合後は「ほっとしてます」と端正な顔を崩して喜んだ。

 打球が飛ぶ理由があった。平沢は「ヘッドを利かせれば打てる幅が広がると(西谷監督に)言われた」と最初の一打を振り返った。ヘッドの重みを生かして打つ。試合の数時間前の助言をすぐに実践した。

 夏の甲子園では6戦3本塁打と結果を出したが、今大会ではさらに進化。1つは木製バットへの対応だ。木製で実戦2戦目の先月26日の大学代表との練習試合では創価大・田中の153キロ直球を捉え右前打を放った。金属と「意識は変わらない」と話すが、試合を経るごとに確実に木製バットを自分のものにしている。

 打球の方向も変わった。甲子園で打った全6安打は中堅から右翼方向だったが、今大会では逆方向へ4安打。広角に打てることを証明し、プロからの評価をさらに上げた。ネット裏で視察した巨人山下スカウト部長は「この夏、化けた。Bプラスの評価が甲子園でAになった。左方向にも打てるようになっているし、大学、社会人も含め遊撃手でこれだけ評価の高い選手はいない」と絶賛した。

 「機嫌がいい状態で迎えられる」と上り調子で米国との大一番を待つ。幼稚園から小学生までバットを大切に枕元に置いて寝ていた野球大好き少年は、日本が誇る左打者に成長した。進化した平沢が、初の世界一への力になる。【高場泉穂】