函館大柏稜が3年ぶり4度目の秋全道出場を決めた。先発した左腕エース谷藤隆海(2年)が檜山北打線を2安打で完封。今夏地区代表決定戦で大敗した悔しさを晴らした。10地区17代表が出そろい、全道大会(10月4日開幕、旭川スタルヒン)の組み合わせ抽選会は、29日に旭川市内で行われる。

 最後まで気を抜かなかった。函館大柏稜の谷藤は、最後の打者への投球前、両手を広げ、大きく息を吸ってから構えた。9回2死走者なし。一直に仕留めると、高山蓮捕手(2年)とハイタッチしてやっと頬を緩めた。終わってみれば、許した安打はわずか2。左横手から繰り出す3種の変化球で檜山北打線を翻弄(ほんろう)し「思った通りの投球ができた」と合格点をつけた。

 悔しい夏が糧になった。今夏の地区代表決定戦、函館大有斗に3回9安打8失点と打ち込まれた。チームは6-9で敗戦。「3年生の夏を終わらせてしまった。気持ちが弱かった」と自分を責めた。秋に向けて、無心で投げ続けた。練習試合では、1日2試合、18イニング投げたことも。「350球くらい投げた。苦しかったと思うけど、追い込ませたかった」。大柳昭彦監督(52)は谷藤に、背番号1にふさわしい、心を求めた。

 あこがれている「1」がいる。甲子園で躍動した、2人の先輩。14年春に完封勝利を挙げた駒大苫小牧・伊藤大海と、今夏の南北海道を勝ち上がった北海・渡辺幹理(ともに3年)は、函館東シニアで1年先輩だった。本当は「(夏の)全道で戦いたかった」。夢破れた今、追い付き、追い越すには、自身も聖地に立つしかない。

 チームは過去3度出場した秋全道で、白星がない。まずは、初戦突破で勢いをつけたいが、その中心となる選手が背番号1だと分かっている。地区2試合14回無失点で全道に乗り込む左腕は「ベストコンディションで臨めれば」と意欲をみせた。【保坂果那】

 ◆谷藤隆海(たにふじ・たかうみ)1998年(平10)5月28日、函館市出身。函館旭岡小3年から野球を始め、函館旭岡中時代は函館東シニア所属。函館大柏稜では1年春からベンチ入りし、同年秋に公式戦デビュー。家族は母、祖母。185センチ、82キロ。左投げ左打ち。