今夏甲子園を制した東海大相模(神奈川)が「2冠」に王手をかけた。先発のドラフト候補右腕・吉田凌(3年)が、智弁和歌山に13安打7失点も160球10奪三振で完投。両校合わせて28安打の乱打戦を制した。今日30日の決勝は中京大中京(愛知)と対戦する。

 打たれても、打たれても、強力打線に立ち向かった。吉田が3本塁打を含む13安打を浴びて7失点しながら、9回160球を投げ切った。得意のスライダーを中心に10三振を奪った右腕は「智弁和歌山はやってみたかった相手。自分の力がどれだけ通用するか試したかった。いい勉強になった。今日も1人で(最後まで)行くつもりでいた」。2試合で280球を投げ抜き、チームを決勝に導いた。

 完全燃焼で高校最後の大会を終える。「甲子園の時は腰が痛かったんです」と明かした。関東第一(東東京)との準決勝の朝は「ベッドから起きるのもきつかった」と振り返る。満身創痍(そうい)の状態でも7回1失点の好投。「仕事は果たせた」と日本一につなげた。甲子園後は休養に充てて腰は回復し、今大会直前に投球を再開。「肩も肘も腰も問題ない」と万全で和歌山に乗り込んできた。

 2年夏の神奈川大会決勝で20奪三振をマークした吉田の高校野球も、あと1試合。「投げる機会があれば、しっかりやりたい。宿舎の温泉やサウナに入ったり、できることをやる」と連投に意欲を示した。「せっかくなので、負けずに終わりたい」。甲子園との「2冠」で有終の美を飾るつもりだ。【鹿野雄太】