今年のプロ野球志望届提出が、今日8日に締め切られる。県内で最初に提出した静岡・堀内謙伍捕手(3年)は、U18W杯に出場したことで、夢であるプロ入りに向けて大きく近づいた。大会ベストナインにも選出され、こだわりのある捕手としての評価を高めた。今月22日のドラフト会議まであと2週間。堀内はキャッチャーミットを手に運命を待っている。

 堀内が小さい頃から思い描いたプロの世界が、現実的になってきた。現在は後輩に交じって練習している。体格でも雰囲気でも存在感は抜群で、気になる点があれば後輩らに声をかけている。

 堀内 しっかり準備しています。指名をもらえるといいですね。

 静岡は14年夏から3季連続で甲子園出場を果たしたが、その中心に堀内がいた。「4番捕手」として攻守で存在感を見せた。それでもプロ入りに向けて不安がなかったわけではない。

 堀内 高卒でのプロ入りは難しいかなと思っていました。でも、頑張って(いい)結果を出すことができました。

 昨秋の東海大会では打撃力を見せつけた。しかしセンバツでは8強に進出も、打撃では思うような結果を得られなかった。その後の春の県大会では4番から5番へ。東海大会では3番に入ることもあった。

 センバツ前後から本人は「肩を見てもらいたい」と話していたが、プロ側が求めるのは打撃力が伴う捕手だ。昨秋の打撃が戻らないとプロ入りは難しい-。そんな雰囲気があったが、最後の夏に向けて調子を戻しつつあった。

 同じくプロ注目の日大三島・小沢怜史投手(3年)との対戦となった今夏の2回戦では、多数のスカウトが集結。適時打を放つ活躍に「堀内がずいぶん良くなった」という声が聞かれた。

 堀内 夏の甲子園は1回戦で負けて悔しさがあった。それでもU18の候補に入って、試合に出られてうれしかった。

 甲子園1回戦では東海大甲府に7-8で惜敗。試合後にはほとんどの選手が涙を流していたが堀内はすがすがしい表情だった。「2年半静岡でやってきて精神面でも技術でも成長できた」という思いがあったからだ。

 そして大きな転機がやってくる。U18W杯日本代表に選出され正捕手として準優勝に貢献。ベストナインも受賞した。練習時間も短い急造チームで「コミュニケーションをとることを心がけた」という。使う変化球やクセをボールを受けるだけでなく言葉でも確認した。秋田商・成田翔のスライダーのキレ、中京大中京・上野翔太郎(ともに3年)の制球力に衝撃を受けたが、持ち味を引き出すリードを見せた。

 堀内 あの経験があったから自信を持てた。志望届を出そうと決断できました。

 ともに代表を戦った選手も続々とプロ志望となった。木製バットへの対応には仙台育英・平沢大河、東海大菅生・勝俣翔貴(ともに3年)の姿が印象に残ったという。「こういうレベルでやらないと」と感じたが大会では16打数7安打。米国との決勝では見事な一塁送球も見せた。

 堀内 試合がまとまるような落ち着いてできる捕手が目標です。配球や盗塁阻止でチームから信頼される捕手になりたい。

 静岡から直接プロ入りとなれば、99年に近鉄2位で指名された高木康成(巨人育成部2軍サブマネジャー)以来となる。「商売道具」のミットをたたきながら、堀内は22日を待っている。【加納慎也】

 ◆堀内謙伍(ほりうち・けんご)1997年(平9)4月15日、菊川市生まれ。内田少年団で野球を始め、主に投手、捕手を経験。東海大翔洋中を経て静岡高に入学。1年秋から正捕手となり2年夏から3季連続甲子園出場。高校通算本塁打14本。好きな選手は西武森友哉捕手。右投げ左打ち、175センチ、82キロ。